第1話 ギャンブル依存症の母と、娘。_10
ある日、玄関のドア脇にある板に触るとホロホロと板が崩れるところを見つけた。
どうやらシロアリ被害のようだった。
シロアリの対策をしたのは15年近く前だった。
シロアリの対策は5年間有効があるので
その後10年間目立った外傷がなかったのは
運がよかったのかもしれない。
あらたに対策をすることと
ドア脇の板の修理について
見積もりを取ったところおよそ50万円程だった。
わたしたち家族にとっては高い金額だったので
幾つかの工事を行わず
自分たちで床下の湿気対策をすることにして
15万円程度で納めることに決めた。
お金はわたしが払うことにした。
それぐらいなら、なんとかなる。
*
それから数日して
工事の支払いのためにホームセンターに出向こうとしたところ、
母が庭先で育てている草花のために薬を買いにゆきたいと言った。
「またか」
わたしはつい心のなかで、
また意味のない無駄なお金を使うのか、と考えてしまった。
「ホームセンターに支払いに行くけど、一緒に行く?」と
尋ねたところ、心が表情に出ていたのか、
態度が気に食わなかったのか、
母は怒りだした。
「そんなに嫌なら、家を出てゆく」
そこからは、どうフォローをしても
何を言ってもなにも母には通じなかった。
お金を使うことに対して、
偉そうにされるのが気に食わない
ツンケンされるのが気に食わない
と母は怒った。
そしてまた、私は母の前から退けられ
近寄ることができなくなってしまった。
それから1カ月が経った。
わたしは今
また2階にある自室で
カップラーメンなど
お湯を温めるだけで作ることができる食べ物だけで暮らしている。
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