第38話:ドリアン王の秘めたる思い

「おまえはたった一つのミスを犯した。それは、俺との真剣勝負を承諾したことだ。それにより、俺を友達と無意識に認め、思考結晶である絶対領域への侵入を許したのだ」


ドリアン王は驚きに歪んだ表情で俺を睨みつけるが、その目には一抹の不安が浮かぶ。彼の傲慢さと自信が崩れ去り、俺の指摘に耳を傾けざるを得ない様子だった。


俺は続ける。

果実王の絶対領域フォレストス・ドメインに侵入するためには、心の奥底に秘めた思いが必要だ。それが友情や絆、信頼の力となるのだ。ドリアン王よ、おまえはその力を無意識に俺に与え、領域へ入ることを許してしまったのだ」


ドリアン王は口元を歪め、その弱点を突かれたことに苦々しい表情を浮かべる。

「たわけ言え! 友情など、果実王には必要ない! 果実こそが全てだ!」


俺は微笑みながら続ける。

「果実の力も大切だろう。だが、おまえが絶対領域を守り続けるために必要なのは、ただの力だけではない。それはおまえの弱さでもある。孤独や絶望を知ることで、他者との絆を求める心が生まれるのだ」


ドリアン王の視線が揺れ動き、混乱が彼を包む。彼は自身の内なる葛藤に直面し、その弱さを受け入れざるを得ない状況に置かれていた。


俺は冷静な表情でドリアン王の背中にしがみつき、彼の性格上の欠点を一つずつ指摘し、説教を始める。


「ドリアン王よ、おまえの問題は傲慢さだ。おまえは自身の力にあまりにも自信しすぎている。それによって他者を見下し、軽視してしまうのだ」


「ぬぬぬ! 無礼な……」

ドリアン王は不快そうな表情を浮かべながらも、俺の言葉に耳を傾けざるを得ない様子だった。


「さらに、おまえは自己中心的な一面を持っている。他人の感情や考えを無視し、自分の欲望だけを追い求める。それがおまえの弱さとなっているのだ」


「なんだと……!?」

ドリアン王の顔には怒りと焦りが交錯し、彼の心情が揺れ動いているのが分かる。


俺は最後に厳しく続ける。

「ドリアン王、おまえの支配欲は果実王としての力を制限している。おまえは他者を従えることを望むが、その欲望がおまえ自身の心を閉じてしまっているのだ」


「私が……、そうだったの……!?」

ドリアン王の顔に深い葛藤が浮かび上がる。彼は黙り込むが、その表情から内なる戦いが繰り広げられていることが伝わってくる。


俺は最後に力強く締めくくる。

「ドリアン王よ、その弱さこそがおまえを強くする。果実の力と友情を結びつけることで、真の果実王となるのだ。俺はおまえの弱さを認め、一緒に未来を切り拓こうではないか」


その言葉が響き渡る中、ドリアン王の表情が変わる。不安と怒り、そして少しばかりの迷いが入り混じった表情が浮かび上がる。果実王としての彼の旅路が、新たな展開を迎える可能性が見え隠れするのだった。

「そうだったのか……。果実の力と友情を結びつけることが真の果実王への道だったのか……」

ドリアン王は自問しながら、苦悩に満ちた目を俺に向ける。


彼の心は揺れ動き、内なる戦いが続いている。過去の傲慢さや自己中心的な欲望と向き合いながら、新たな道を切り開く決意を固めようとしているのだろう。


俺は静かにドリアン王の傍に近づき、彼の血まみれの手を優しく取る。

「ドリアン王よ、おまえの弱さこそがおまえを強くする。過去の過ちを受け入れ、新たな道を歩む勇気を持つのだ」


彼の視線が揺れ、少しずつ迷いが消えていく。未来への希望が彼の心を包み込み始めるのが感じられる。


「俺はおまえの弱さを認める。そして、おまえと共に未来を切り拓きたいのだ」と俺は囁く。


ドリアン王は深いため息をつき、その瞳に新たな決意が宿る。

「ありがとう……。俺も果実王としての使命を果たすために、新たな力を求めて歩み出そう」


彼の声は少しずつ力強さを増していく。彼は過去の自分に決別し、新たな自己を見つけ出す覚悟を決めたのだ。


「いまだ! メロンナ姫!」

「バッチリですわ!」

ドリアン王が油断したその瞬間、俺の合図で、メロンナ姫がスイメロン爆弾を投げてくる。

俺は一瞬ためらいつつも、決断を下す。スイメロン爆弾を手に取り、ドリアン王の背中に巧妙に仕掛ける。そして、飛び上がって遠くに避ける。


「なにぃぃぃぃぃぃぃぃ!? ぬかったな!」

ドリアン王は驚愕と絶望に満ちた表情を浮かべる。

だが、爆弾を取り外してくれと言われても、もう遅い。


スイメロン爆弾は点火し、大爆発を起こした!


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