3話「朝比奈風夏の嫉妬」


そんなこんなであっという間出かける当日になってしまった‥

その間にはつばさに億恋の話や先輩2人にまつわるエピソードなどどんな場面でも対応できるように、そして今日行くショッピングモールをどう回るかなどを話しておいた。


実際どう転ぶか分からないし、翼も別に2人を好きになるとは限らないが

まずは今日1日を素直に楽しめたらなと思っていたが俺はこの前のFINEの事を思い出していた。


「翼おはよ!

この時間ならまだ集合時間20分前だし余裕だな!」


「おはよ、お前は朝から元気だな

良かったよ、てか普通に2人とも学校じゃ凄い先輩達だから普通に俺、緊張するぜ」


「安心しろ翼よ、俺も何度か話してるが未だにすごーく緊張してる」


「それって安心できるのか?」


「そだよな‥」


緊張と楽しみが程よく混ざり合った感覚

なんか懐かしいな、なんて事を思っていた。


「おはよー、優希ゆうきくん!

君が友達の今井いまい君だね!」


「おはよう2人とも新川しんかわくんは知ってるけど

私が日向ひなたこはる」


朝比奈あさひな先輩、日向先輩

初めまして優希の友だちの今井翼です。

よろしくお願いします。」



こうして俺もプロジェクトの最初のミッションが始まる。


「今日はなんでここにしたの?」


「朝比奈先輩と俺の目当てになるかもですが億恋の原画展がやってるんですよね!!」


ここ、トコトコタウンでは先輩の大好きな億恋の原画展がやっている

まずはそこで翼と朝比奈先輩の距離をグッと縮めるのだ


「今井君はこの漫画知ってるの?」


「はい、実は俺もこの漫画好きでして‥

そのまで詳しいって訳じゃないんですけどなんか読んでる内にこのループの先がどうなるかってついつい気になっちゃうんですよね!!」


「今井君さすがだねぇでも私は1話の時点で伏線が貼ってあると思って‥」


流石翼だ

基本は誰とでも気軽に話せるくせにその性格からあんまり自分からはいかないんだよな‥


でも、なんだろうこの気持ち

少しモヤモヤするようなしないような‥


いや俺は翼を支える粋な親友になりたいんだ!


「今井君、どうしたの?」


「日向先輩!いやなんでもないですよ

てか、すいませんせっかくのお休みなのに!」


「気にしなくて良いのよ

なんだか風夏も張り切ってて、なんていうか珍しかったのよね」


意外だな、朝比奈先輩ぐらいなら普通の事だと思ったけどな。


「風夏はね、昔からあの見た目だから寄ってくる男子はみんな顔だとか見た目だとか、彼女そもそもの性格とか彼女の本心みたいな所は見てくれなくてね、きっと嬉しかったんだと思うのよ。」


「そうですよね、なんて言うか勝手に朝比奈先輩って一目置かれてるがゆえに勝手に取っ付きにくいとか俺なんかが、って思ってたんですけど

凄く優しくて、好きな物には一直線でそこがなんか素敵だな〜って思ってたんですよね。」


「ふふ、なにそれ、てかそれ私に言う事なの?」


「アハハ、確かに、なんか告白みたいなことしちゃって‥」


朝比奈先輩と日向先輩の2人の関係は強い絆で結ばれてるんだな

なんか、かっこいいな


「こはると優希君は、な〜にこそこそ話してるの?」


「風夏には秘密だよ〜」


唇に人差し指を添えた日向先輩はどこか子供のように可愛いく見えた。



「先輩着きましたよ」


「お〜億恋の原画展だ〜!!」


ついに着いた!

ここからが勝負である


「おい翼、バレないようにエスコートしろよ!」


「え、俺?」


「まあまあとりあえず見ましょうよ〜」


流石、億恋だ!結構な人混みなだけあってゆっくり見るのは厳しいかもな


「あ、このシーン!」


思わず俺と朝比奈先輩が声を合わせてしまった。


この原画は俺たちが初めて出会った時に朝比奈先輩が真似してたシーン


初めて2人ともループしてる事に気がつく作中でも大事な場面だ


「懐かしいね、私が優希君の名前知らないでつい勢いで言っちゃったんだよね」


「あの時は正直作品の事よりも名前呼ばれた事が焦っちゃってびっくりしたんですからね!」


「本当ごめんて〜、でもあの時話しかけたのが優希くんで良かったかも!なーんてね!」


「日向先輩、なんか俺もしかして邪魔者ですかね?」


「今井君、そんな事ないと思うわよ、ただあの2人出会ってからそんなに経ってないのになかなか仲良いのよね」


「やっぱそうなんすね‥優希お前はどうしたいんだ‥」


は!まずい、つい思い出話をしてしまい翼の事を忘れてた!


「翼!お前このシーン好きって言ってたよな???先輩もこのシーンが好きらしいぞ!」


「お前は本当自由奔放だな‥今行くよ。」


なかなかギャルゲーの親友キャラって抜かりなかったんだな

まあ少女漫画ばっか見てたからつい、イケメンの隣にいる鈍感系友達になるところだったぜ‥


「日向先輩はこの漫画見たことあります?」


「私は小説が好きだから本当は漫画とかあんまり見ないんだけどね、風夏が見ろ見ろってうるさくて何だかんだで全巻読んでしまったのよね‥」


「意外とこの漫画読むと本当奥深いんですよね!!」



なんて他愛もない話をした俺らは第二の目的地に向かうのであった‥


続く

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