4話「謎解きはランチの後で」

食事を済ませた俺らが次に向かうのはこちらも期間限定でやっていた、

“巨大謎解き迷路ワトソンの後を追え!!”である


2人1組で謎を解きながらゴールを目指す至ってシンプルなのだが、距離を縮めるのは打って付けである。


「せっかくだから今井いまいくんと回っても良いかな?」


「え!?」


一同がびっくりするも朝比奈あさひな先輩は俺にアイコンタクトを送った。


そうだったこの前のFINEの内容である。


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「ねぇ、優希ゆうきくんってもしかして、こはるのこと狙ってたりする?」


意味深な文章と共に頭に沢山の?が浮かんだが、どうやら翼の為に日頃から日向先輩の趣味嗜好を聞いてたのが俺が好きだと勘違いさせたらしい。


嫌いと言う訳では無いのだが狙っているという訳ででは無い。


(別にそんな事ないですよ!)


(隠さなくて平気よ!)


(今度遊びに行く時私に任せて!!)


なんと言うか否定しても隠してるように思われてしまったのか僕はもう一度否定のFINEを送ったのである。


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もしかして朝比奈先輩の任せてってこう言う事だったのか‥

まあ俺も翼には朝比奈先輩のような優しくも明るい人がお似合いだと思うから逆に好都合なのか


「いや、でも風夏は‥」


「わ、わ、わかりました!日向ひなた先輩行きましょう!レッツ謎解き!!」


「優希お前なぁ‥」


こうして謎解き巨大迷路は始まったのである!



最初の数問はいかにもショッピングモールの謎解きレベルであった!


(これなら簡単に出れそう‥)


そんな事を思っていたのだが



「日向先輩、これスッゲェ難しくないですか!?!?」


「そうね、私も少し舐めてたわ」


終盤の問題がだんだん難しくなっていた。

日向先輩は普段ミステリー小説をよく読むらしい、どうやら彼女の中の探偵を呼び出してしまったようだ‥


「う、うん、優希君よこれから私は本気モードになるわ!私の事はシャーロック、コハルと呼びなさい!」


いや、呼べる訳無いでしょ

まさかこの人がこんなにも謎解きにかける想いが強かったとは‥

俺も負ける訳にはいかない。


「日向先輩、いやコハル先輩俺らでこの謎解き明かしましょう!!」


「えいえい、おー!!!」



こうして俺らの探偵ごっこは始まったのであった‥

にしても本気を出した日向先輩の洞察力、そして何処かから出したメガネ

とても綺麗だ

勉強は学年一位とは聞いてたがこんな何かに真剣になる姿は初めて見たのであった‥



「これをこうしてこうだ!!」



ーー正解ですーー


「や、やったー!!!」



こうしてシャーロック・コハルの大活躍により2人は無事に脱出できたのであった‥



「やりましたね!こはる先輩!!」


「いや私と優希くんが頑張ったからだよ!!」



時間いっぱいでギブアップした翼と朝比奈先輩が先に待っていた


「こはるぅ〜、え、今2人とも名前で‥」


「あっ‥」


後になって知った事だがこの時の朝比奈先輩の顔は人に見せられるような状態ではなかったらしい‥


「翼どうだった?難しくなかった?」


「いや、俺と先輩2人で頑張ったけど最後の二問がマジで難しくてギブアップだったよ‥」


「こはる、流石はミステリーオタクね」ニヤニヤ


「ちょっと久々に心躍ってしまったわ!たまにはこう言うのもいいかもね」


「優希君こはる凄かったでしょ?」


「はい、問題難しすぎたんですけど日向先輩のおかげでなんとかなりましたよ!!」


どうやら、翼も朝比奈先輩も上手くいったらしい‥

良かった、そして勘違いしたまんまの朝比奈先輩はなんだがぎこちない顔でこちらに笑ってくれた。



「すいません〜撮影始まりますのでご協力お願いします!!」


謎解き迷路ってそんなん人気なんだな

テレビの撮影が来るほどらしい

誰か有名人とか来てるんだろうか?


「優希、ちょっと寄りたいところあるんだけど先輩達もちょっと付き合ってもらっても良いですか?」


「俺は全然良いよ!」


「私たちも大丈夫!!」


テレビ撮影をわざと避けるようにしてたけど翼になんか不都合なことあったんかな??


移動中、日向先輩こっそりこんな事を言ってきた


「てかさ、気のせいなら良いんだけどさっきから女の子2人が私たちを付けてきてる気がするんだよね」


「どこですか?」


「ほら!そこの後ろ!!」


ん??

あれは、サングラスで誤魔化してるけどどう見たって‥


「おい!お前らついてきてるんだ?

まい栞菜かんな!!」


ギクッ!!



「なんでお前らこんな所に居るんだよ!まさか着いてきてたのか??」


「いや違うの優ちゃん!舞ちゃんから2人が女の人と遊びに行くって噂があったからその‥えっと‥ね??」


いや、ね??、じゃねぇーよ!

まさかチラッと言ったことを舞が覚えていたとは、流石翼のことが好きなだけあるぜ‥


「ごめん兄貴が朝から挙動不審でキモかったから気になって!」


「舞、こんな事で栞菜に苦労かけるなよ!」


「ごめんて〜」


「あれ、舞ちゃんに栞菜?まさかお前ら‥」


「あっ翼様」(小声)


「朝比奈先輩、日向先輩、この2人幼馴染と俺の妹なんですけど、なんかたまたま2人で遊びにきてて俺らが珍しいメンツで遊んでるの見ててこっそり着いてきてたみたいで‥」


咄嗟に嘘ついて庇ってしまった

まあ、いいか


「初めまして、優ちゃんと翼くんの””幼馴染””の小山田栞菜おやまだかんなです。よろしく、お願いします〜。」


「は、初めてまして、優希の妹の舞です。あ、あの朝比奈先輩と日向先輩ですよね!お二人ともすごい綺麗ですよね、私も裏高なんですけど後輩たちの間でも凄く有名です!!」


「栞菜ちゃんに舞ちゃんね!よろしくね、いつも優希君にお世話になってます!」


なんか穏やかなような不穏のような空気が流れてるような‥


「なんだか凄い人数になっちゃったな‥あ、てか翼寄りたいところがあるって言ってたよな?」


「やっぱ大丈夫になりました、すいません!

よくよく考えたら今じゃ無くても良いやって」


なんか翼の顔がさっきより笑顔になったな


「今日はもうこんな時間ですし帰りますか!!」


「ま、そうだな!舞と栞菜後で話あるからな〜」


「優希君、今井君!!今日は本当にありがとう!!」


「私も今日は色々楽しかったわ!こういう日もたまにはありね。」


「はい、優希と先輩達のおかげで楽しい1日になりました」


なんだか色々衝撃的な1日だったな‥

この感覚なんか凄い久しぶりだ

俺は本当に翼にとっての粋な親友になれるんだろうか?

まあ、今日はそんな事良いか!!


「いきなり誘ったのにみんなで遊べて良かったです。本当にありがとう!

またいつかみんなで遊び行けたら良いですね!」


こうして俺の初めてのプロジェクトは終わりを迎えた。


続く


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