第30話 原因
あまりの衝撃に、レドは思わず聞き返す。
レド「なんでこんなときに…隣国の王女が…?」
サヤ「なぜかはわかりませんが…お姉様が言っていたので、確実だと思われます。」
レド「とりあえずこの場を解散して、迎える準備をしないと…サヤ、ごめんな…」
いつもの笑顔を見せて、サヤは言った。
サヤ「私たちは国を背負う者です。これくらい、なんてことありませんわ!」
皆を集めて、事情を話す。
レド「今、隣国の王女…ルナ・メグ殿!その妹君…ナーガ・メグ殿が城へ向かっているとの情報が入った!この場は一度解散する!突然で申し訳ない!」
会場はざわめく。
隣国の王女が、なぜこのタイミングで訪れたのだろうか?
………………………
結婚式はお開きになり、皆が隣国からの訪問者に備えた。
自室で、ナラにお茶を煎れてもらうサヤ。
サヤ「ありがとう。とっても美味しいわ。」
ご機嫌なサヤとは反対に、かなり腸が沸々としている様子のナラ。
ナラ「なんでこんなときに!これは宣戦布告と捉えてもよろしいのでは?」
サヤ「ルナ様はとても良い方だと噂で聞いております。お茶会を開いたら、ナラのお茶を飲んでほしいの。きっと驚くわよ!」
ため息をついて、ナラは続ける。
ナラ「ルナ様たち…絶対にレド様を狙ってますよ…こんなタイミングで来るなんて、おかしいですもの。」
サヤ「こら、物事を全て悪い方へ考えては駄目よ。私たちを祝福しているの。そう思わないと手が出てしまうわ。」
おしとやかにしているように見えたサヤだったが、内心結婚式を中断させられた怒りがあった。
しかし隣国の王女となれば不敬を働くわけにもいかず、今に至る。
サヤ「私たちを引き裂きたいのは丸わかりよね…それか側室を狙っているのかな…でも王女が側室…?私を側室に蹴落とす気かしら。」
ナラ「そんなこと私がさせませんけどね!」
拳を握るナラをなだめるのに必死になっていると…
コンコンッ…
レド「サヤ、ルナ殿とナーガ殿がいらっしゃった。出迎えるぞ。」
サヤ「は、はい!今行きます…」
急いで扉を開けて、レドと入り口の門へ向かう。
レド「いきなりで悪いが…こればっかりはしょうがない…」
サヤ「わかってるから大丈夫だよ。レドは落ち込まないで?」
そう言いながらも、サヤはあることを危惧していた。
ルナ・メグはサヤを人間不信にした犯人でもあるのだ。
幼少期、レドと婚約を結ぶ前にサヤとルナは会ったことがあった。
まだ四歳ほどだったサヤは、王宮に行く機会があって王宮へ出向いた際にルナと出会った。
会ったときは二人とも親がおらず、子供同士での対面となったが…
ルナ「私は王族よ!床に這いつくばって敬意を表しなさい!」
ルナはいわゆる嫌な王族。という感じで、権力が全てで、他はひれ伏せ。といった感じだったのだ…
サヤ「…?なぜあなたか王族だから、這いつくばらないといけないのですか?」
ベチッ…!
サヤの頬を叩いた。
ルナ「言うことを聞かないのなら、あなたの家なんてすぐに潰してあげる!私は王女なんだから!」
サヤは酷く萎縮し、ルナの言うことを聞いた。
ルナ「早くしなさい!本当使えない貴族ね!」
ルナ「あんたみたいな役立たずが貴族の端くれにいるだなんてゾッとするわ!」
それは辛く、サヤの人生の価値観をねじ曲げてしまうほどに酷いものだった。
更に二人が王宮に滞在する時は同じ日にちの二日間…とても長かった…
そしてサヤは人を、貴族を信じられなくなった。
自分は駄目だと歪んだ思想を持ち、常に自分を卑下にし続けた。
そして今に至る…
ルナとの再会はどのような形になるのか…?
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