第18話  シューカとから揚げ定食

 そして客足が落ち着いてきた12時50分頃。シューカが戻ってきた。


「お疲れ様ですー」


 私と、ユナ、マリーが揃って挨拶をして出迎えた。


「マリーさん、まずケールの様子見に行ってきても良いですか?」

「いいですよ、お願いします」


 その後シューカが戻ってきた。シューカの表情はどこか、充実しているように見えた。


「ケールは勉強してましたね」


 と語るシューカ。その言葉を受けて私は、ケールは真面目な子だとしみじみ感じたのだった。

 そんなシューカへユナがお冷を用意しつつ、お昼はどうするのかと質問する。


「から揚げ定食でお願いします」

「あいよー」


 注文を受けたユナが厨房にいるマリーへオーダーを告げる。シューカはお冷をゴクッと飲みほす。


「喉乾いてたんですか?」


 と、私が聞くとシューカは頷いた。


「冥界廊に行ってたというか、出動要請があったので…」

「何かあったんですか?」

「探検家同士のトラブルですね」


 聞けば探検家同士が報酬の取り分だったり、誰がどのフロアを捜索・攻略するかなどでよく諍いが発生するのだという。

 シューカの話を聞くと、今回起こったのは報酬の取り分による諍いだった。誰がどのくらいの金額を受け取るかで揉めていたようだ。


「報酬金での言い争いは一番ありますからね」

「お金ですからね…」

「酷いとそれで戦いになったりもあります」

「そうなんですか…」


 このタイミングでユナがから揚げ定食をシューカへ持ってきた。


「お待たせしましたー。から揚げ定食になりまーす」

「ありがとうございます」


 シューカは早速お箸で熱々に揚がったから揚げを掴んでかじる。


「は、はふっ…美味しい!」


 

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