第12話 夕食のケチャップライス

 マリーが夕食を作ってくれた。メニューは余ったごはんをケチャップで炒めたケチャップごはんである。


「ありがとうございます」

「いえいえ!実は私の分と合わせて作ったの」


 スプーンで1口すくって口に入れる。するとケチャップの味とバターの味が合わさってとても美味しい。


「美味しいです!」


 刻んだウインナーから出る塩気も、いい味を出している。


「ありがと。ケールは起きてからまたごはん出しましょうか」

「ですね」


 ケールはあれから疲れ切ったのか、案内された部屋のベッドで眠っている。今は起こさない方が賢明だろう。

 シューカも今はケールの元に付き添っている。


「それにしても、にぎやかになったわね」


 マリーがそう感慨深そうな口調で呟いた。


「最初は私だけで、それからユナが来て…そして真夜が来た」

「マリーさん…」

「人生何が起こるかわからないものね」


 マリーの笑顔はとても爽やかなものだった。


「確かに、そうですね」


 自分もこうして転生して、健康な魔女の肉体を手に入れて、今のところは病気とは無縁な生活を送れている。

 本当に何が起こるか分からないものだ。


「ふふっ…」

「えへへっ」


 ケチャップライスをあっという間に食べ終えると、私はその場に座って休憩する事にした。


「ふうー」

「おなか一杯になったわね。とりあえずシューカとケールのとこ行ってくるわね」

「はい」


 マリーの背中を見送った私は、空っぽになった私とマリーのお皿を流しに持っていきお皿を洗う。

 スポンジをぎゅっと一度握っただけで、泡がぼわっとあふれ出て来た。


「わ」


 泡から放たれるシャボン玉がきらきらしていて綺麗だ。そんなシャボン玉に見とれながらお皿を洗って、食器用のふきんで拭いた。


(これでいいかな)


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