第7話 13時過ぎのサンドイッチ

「サンドイッチと紅茶のセット2つお願いします」


 そう注文したのは男女2人の探検家だった。2人とも20代くらいの若さに見える。


「はい、かしこまりました」

「君、新人?」


 いきなり女性の方が私へと声をかけた。私ははい。と答えると、女性はやっぱりそうだ。と頷く。


「頑張ってね!」

「ありがとうございます」


 私はぺこりとお辞儀をして、厨房へと戻ったのだった。


「あら、あの夫婦また来たんだ」


 マリーがあの男女2人へ目線を向けながら小声でそう呟いた。


「夫婦なんですか?」

「ええ、こないだ結婚したって聞いたわよ」

「なるほど…」

「出会いは冥界廊なんだって」


 横からユナもやってきて、あの2人の事を教えてくれた。


「ユナさん、あの2人探検家なんですか?」

「そうそう」

「ふーん…」

「あっサンドイッチ出来たわよ」

「はーい」


 私は2人分のサンドイッチと紅茶をお盆に乗せてそろそろと歩く。


「お待たせしました。サンドイッチと紅茶のセットです」

「はーい」

「美味しそう」


 2人はにこやかに会話をしながら、サンドイッチを食べつつ紅茶を飲んでいく。


「この後は冥界廊の第十階層だっけ」

「そうそう」

「骨運ぶのしんどいなあ…」

「あれ重いし気持ち分かるー」


 骨?一体なんの骨なんだろうか。


「あの、何の骨なんですか?」


 勢いあまってつい聞いてしまった。すると男性がにこやかに答えてくれる。


「ああ、人の骨だよ」

「ええっ?!」

「集団遭難なのか、或いは人身御供的なものなのか…調査はこれからだけどね」

「ほうほう…」


 ダンジョンに人の骨…そう聞くだけで背中がぞくっと震えたのだった。

 やはりダンジョンは危険な場所だと思ってしまう。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る