番外編② ハロウィンパーティー

 今日はハロウィン。冥界廊は封鎖され、食堂も休みである。

 その代わり、食堂内ではマリー、私、ユナの計3人で、ささやかなハロウィンパーティーが行われている。


「ハッピーハロウィン!」


 この国では、ハロウィンは魔女も人間も人外も皆お祭り騒ぎなのだという。前世と違って仮装やコスプレはしないが、お祭りとして騒いだり、お菓子や料理を配ったり、貧しい人へ施しをしたりして過ごすのだそうだ。


「真夜、ユナ、出来たわよ!」


 マリーが持ってきたのは、冥界廊に住まうドラゴンの照り焼きだ。見た目は照り焼きチキンにそっくりだが、肉はチキンではなくドラゴンである。


(ドラゴンの肉…?!)


 すると、ユナは早速ドラゴン肉の照り焼きにナイフを入れてブロックに分けていくと、その内の1ブロックに自分のナイフを突き刺し、豪快にかぶりついていく。


(た、食べた…)

「うん、美味いわ〜真夜食べないの?」

(そう言われても…)


 私はおそるおそるドラゴンの肉を一口大に切り分けて口に入れる。


「!」


 食感はチキンのそれだ。そして照り焼きの味もよく知る醤油のあの味だ。癖も変な匂いもない。とても美味しい!


「お、美味しい…!」

「でしょー」

「ユナ、真夜どんどん食べてね!他にもドラゴンライスとかあるから!」

(ドラゴンライス?!)


 こうして、ハロウィンパーティーは夜遅くまで続いたのだった。

 ちなみにドラゴンライスは、チキンライスのチキンの部分が、ドラゴンの肉に置き替わったものであった。





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