第6話 12時には山盛りのオムライスを

 ホールはユナと私、厨房はマリーで食堂を回していく。

 ちなみにユナも時折厨房に立っている姿が見られた。


「こんなもんかな、それっと☆」


 ちゃらんぽらんな感じは変わらないが、今のところ仕事をこなすスピードは速いように感じる。それにミスも無い。


(手慣れてるんだろうなー)


 ここで客の1人が手を挙げたので、私は急いでそちらへ向かう。


「すみません」

「はい!」

「オムライス大盛りお願いします」

「わかりました!」


 注文したのは若い少年だった。ヘルメットを被ったまま、席に座っている彼の顔には絆創膏が貼られてあった。


「オムライス大盛りです」

「はーい」


 マリーへ注文を伝えつつ、出来上がった料理を持っていく。マリーはささっとオムライスを作り終えると、最後にオムライスを注文した少年の顔に目線を向けた。


(気づいたのかな)


 そして呪文を詠唱し、出来上がった料理を乗せるテーブルの上に、オムライスを乗せた。大盛りでケチャップソースがしっかりとかかっている。


「はーい、大盛りオムライス出来たよ!」

「了解です!」


 私はそのオムライスを、少年の元まで慎重に運んでいく。


「お待たせしました。オムライス大盛りです」

「ありがとうございます!」


 少年は勢いよくバクバクとオムライスを食べ進めてあっという間に完食したのだった。

 すると、顔の絆創膏が光る。


「あれ、痛くない」


 少年は絆創膏を取る。そこにはもう傷という傷は全く無い。


(もしかして、魔術…?)


 少年は意気揚々と会計を済ませて、冥界廊のある方角へと向かっていった。


「傷、無くなったみたいね」

「さっきの…マリーさんの魔法ですか?」

「そうよ。真夜。ああいう傷がある子がいたらこっそり教えてね。魔術でしっかり治すから」


 そう言うとマリーは、小さくウインクをしたのだった。








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