第11話 奏多、復讐される①
一方そのころ、ダンジョン委員会をクビにされた
「アイツのせいで、俺の人生はめちゃくちゃだ……」
『ダンジョン委員会の
『低ランク帯の探検家に高圧的な態度をとっていた』
『
『無能は自分自身だった!?』
『
ネットニュースで
「これから先、どうしたらいいんだ……」
三島が不祥事を起こして、数日が経過していた。
高圧的な態度と、虚偽報告をしていたことが発覚し委員会をクビにされた。
転職しようにも委員会での不祥事が原因で仕事にも就けない日々を送っていた。
『さぁ、これから三分でこのモンスターたちを美味しく調理していきます~』
「俺はお前を許さない。北村奏多――――」
三島は奏多のアーカイブを見つめながら、暗い部屋で一人不敵な笑みを浮かべた。
◆ ◆ ◆
伊原本部長の娘、伊原芽衣を救出してから数日後。
俺はいま低ランク帯の依頼をこなしにとあるダンジョンに来ていた。
『剣技―――
いつものように抜刀の構えをとり、モンスターに向かって斬撃を繰り出す。
すると、音を立てずにスライムが消滅する。
「よーし! これでスライムの欠片ニ十個目だ、あと八十個だ……」
"この間までワイバーンと戦ってたのに……"
"今回はスライムだもんな"
"落差ありすぎだろ"
"Dランクの依頼って簡単すぎじゃね?"
"小学生でもこなせるんじゃないのこれ"
"村正でスライムを倒す。簡単なお仕事"
もちろん今日も配信をしている。
ダンジョンに潜る際は配信をする癖をつけるようにした。同接は1000万人。今日もたくさんの視聴者に見守られながらモンスターを屠る。
「おっ! スライムいた!」
俺は、逃げ惑うスライムを無表情で追いかけながら一匹、二匹、三匹と順調に倒してゆく。
バラバラに逃げるせいでまとめて倒すことができず、かなり時間がかかっている。
"可愛いスライムが……潰れてゆく"
"顔怖すぎて草"
"まぁ、スライム百体なんてそうそういないし逆に難しい依頼だよな"
"もう作業げーだわ"
"俺らは何を見せられているんだ"
"目標をセンターにいれてスイッチ状態じゃん"
"目が虚ろですよお兄さん"
"モグラたたきみたいだな"
代り映えのない配信に嫌気がさしている視聴者も多いな。
このままじゃ視聴者が離れていくいっぽうだ。どうしよう……。
「あっ! いいこと考えた」
こういう時はアイテムを使ってみよう。
俺は、先ほどのスライムの欠片一つを手に取り妄想する。
『
スライムの欠片がモンスターを呼び出す「魔物の笛」に早変わり。
「魔物の
とくに、腕に自信がある探検家がこぞって使っていると言われている。
これを使って、スライムをおびき出そうという作戦だ。
"スライムの欠片がAランクアイテムに変わって草"
"アイテム買う必要なくて笑うわ"
"奏多のスキル便利すぎじゃね?"
"永久機関の完成ですね"
"奏多にできないことはない"
"最強のスキルじゃね?"
"っていうかもうスキルでスライムの欠片手に入れたほうがはやくね?"
「いでよ! モンスター!」
俺は魔物の笛を思い切り吹く。
すると、数秒で四方八方からモンスターの大群が音を立てながらこちらに向かってくる。その中にはSランクのモンスターもちらほら。
スライムもひょこひょこ飛び跳ねている。
なんとも可愛らしい光景だが、すまんな。今回はお前らを倒さなくちゃいけないんだ。
俺は、抜刀の構えを取る。
『剣技――――
音速をも超える斬撃を向かってくるモンスターに放つ。
『グガッ……』
『ギグ……』
『シュ……』
そして一瞬にして向かってきたモンスターは全滅。
いたるところにアイテムが散らばる。
「この中からスライムの欠片を探さなきゃいけないのか……」
超絶めんどうだ……。
"一瞬でモンスターが消えて草"
"すべての動作が企画外すぎて笑う"
"ドロップしたアイテムえぐいな"
"スライムの欠片どれ?"
"ってかSランクモンスターいたよな?"
"攻撃する前に倒されてたなw"
俺はあたりに散らばったスライムの欠片だけを拾っていく。
アイテムの価値がさっぱり分からないので、とりあえずそれ以外はそのままにしておこう。
途中、レアそうなアイテムがあったが、とりあえずスルーしていく。
"もったいない……"
"いまのSランクのアイテムなのに……"
"売ったら、百万するぞ"
"スライムの欠片>Sランクアイテム"
"優先順位おかしすぎて笑う"
"まぁ、奏多なら
「よっしゃ! これで百個!」
ダンジョンに潜って一時間弱。ようやくスライムの欠片百個を集めきることができた。
初めてDランクの依頼を受けたが、意外とめんどくさいことが分かった。それに労力と報酬がわりに合わない。
「これならワイバーンの相手をしてた方が楽だったな~」
あとは、戻って報告するだけだ。
俺は、アイテムを懐にしまい。ダンジョンの出口へと歩みを進めようとしたその時。
「やっと見つけたぞ、北村奏多――――」
後ろから不気味な声。
俺はそっと後ろを振り返るのだった。
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