第7話

 ツイッター界隈では、あるアカウントが話題になっていた。


『このアカウントの主さんのニャオ葉さんって、もう亡くなったのかな』

『全然ツイートしてないから、具合が悪いんじゃない』


 その頃にはアンチは完全にいなくなっていた。


『どうしてますか?』

『まだ生きててくれたらいいな』

『友達、ここにいっぱいいますよ!目を覚まして!』

『また山Bさんの応援コメントのっけてください』

 

 数週間盛り上がったところであるツイートがあげられた。

 それは、新規のアカウントでニャオ葉さんのツイートをスクショしていた。


『本人に代わりにお伝えします。ニャオ葉さんは先日病院で亡くなりました。


 私は故人の親族ではありませんが、皆さんが心配なさっているので、お知らせいたしました。生前、故人はツイッターのこともすごく感謝していました。最後までスマホを手放しませんでした。


 最後の頃は私のことを山Bさんと勘違いしていましたが、すごく幸せそうでした。10月24日にツイートされた写真は私のものです。


 まだ五十代というお若いご年齢でしたので、まだやり残したことがたくさんあるかと思います。非常に残念です。謹んでご冥福をお祈りいたします』


 そのツイートは何千回もリツイートされた。


『最後に山Bに診てもらえてよかったね。ニャオ葉さん』

『リアル・コールド・ブルーだね』 

『ニャオ葉さんのツイートを見てて、押しがいるっていいなぁと思った』


***


 山Bのツイート。


『今日、大切な人が亡くなったと知りました。ずっと応援してくれたファンの方でした。ニャオ葉さん、僕の活動をこれからも見ててください』

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

余命 連喜 @toushikibu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ