第39話
かん・かん・かん
かん・かん・かん
かん・かん・かん
「失礼つかまつります」
家臣の一人が走り込んできた。
岡崎に一礼するとすぐに
「岡崎殿、直ぐに
「まさか。この
岡崎は半身を浮かせた。
岡崎はそのまま立ち上がり、御免!といって駆け出していった。真之介はそのまま座っている。
その眼は部屋の天井付近をじっと見つめていた。
(
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また内部からも出火したようで、建物はすでに炎に包まれていた。中から男女の悲鳴が聞こえてくる。
「なんか臭わねぇか?」
町火消しの一人が鼻をひくひくとさせている。他の者達も同じような仕草をした。鼻につく異臭が漂っている。
それは誰もがここ一~二ヶ月で嗅いだ臭いだった。
「また
誰ともなく声を上げる。
ただ、延焼するのを防ぐ布陣を敷いている。暫くすると風下の方から騒ぎ声が聞こえ始めた。
「おぃ、医者を呼べーーーー!」
風下にいた火消し達が数名の同心や火消しを担いでくる。担がれてきた者達は様子がおかしかった。目を剥いている者、泡を吹いている者、とろんとした眼になっている者、喚いている者、震えている者様々だ。
岡崎が騎馬で駆けつけた時にはすでに三十を越える者達がおかしくなっていた。
(えぇいっ、あの薬に火が付いたか)
岡崎は直ぐに他の
「あの煙は危険だ。風下の住民を全員避難させよ。
大名屋敷も踏み込んでかまわん。苦情は
岡崎は一人の
話を聞き終えた
岡崎はすぐに残った同心と火消し達の再配置を指示し始めた。その間にも火勢はどんどん強くなって行く。
(ちっ、証拠を消したな)
岡崎がその場にいる全員に様々な指示を出していると、江戸市中から応援が駆けつけた。
先頭には
「申し訳ございません、このような事になるとは」
岡崎は頭を下げていた。実際、岡崎の失態ではないが
それを見た
「それは後回しじゃ。それより被害が酷いと聞く。
大名屋敷は
「絶対に煙を吸わぬよう、お願いいたします。
あれは最悪です」
岡崎の目と声に
「おぅ、岡崎。何でも言え。儂は今からお主の指揮下に入る。存分に働かせい」
北町奉行の言葉に岡崎は奮い立った。とにかく延焼を防ぐために近くの木を切り、人を避難させ、風の向きに気を配った。
そして一刻後、ようやく火事は鎮火することとなった。
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