第29話
最初は
しかし、最近はあまりにも過激になってきている。
今回は皆殺しにするとまで言っている。
また、今後ずっとこの見世を拠点に活動すると言っているのだ。
正直
この集団は平気で人を殺す。
いつ自分の身が危うくなるかもしれない。
今回
そろそろこの者達は切り時だろう。
そう考えた
若い者は慌てて
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二人が地下から出たとき、たまたま入ってきた客が
「すごかったぜ、江戸のど真ん中で爆発があったからなぁ。死人も出てた」
「あれ、それはそれは、怪我はしておられんせんか?」
「あぁ、死んだのはほんの数人だ。ただ全員焼死したという話だ。
なんかすごい臭いが漂ってたけどな。
そうだ、ありゃぁ、
二人はそのような会話をしながら二階に上がっていった。
「
「
たしなめるように
「確かに、臭いというのと、殺した者が焼かれていたところは同じでありんす。
ただ、爆発というのはどうでありんすかねぇ。私が向かったとき診療所はすでに燃えていましたから」
「ぁ、そういえば
「つまり、
更に細部の情報を組み合わせてゆく。
その時捕まえた
突然
その影響で
営業を再開した
そして
その時に
「ほぼ、間違いないでありんしょう」
「きゃー」
突然の悲鳴に
部屋には
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男の遺骸に組み敷かれた女はただ叫ぶしか出来なかった。
女の首筋に短刀が突き刺さった。声を上げることが出来ない。首から冷たい物が引き抜かれる感触が襲う。
女の美しい乳房に冷たい物が侵入した。何度も何度も場所を変えて。女は薄れ行く視界に、見知った、ずっと優しかった
それも
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二階から駆け下りてくる客や
しかし誰も聴く者はいない。
二階からは時折悲鳴が聞こえてくる。
二階には上がれない。まだ、降りてくる者で階段が塞がれているからだ。
「
しかし、
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(血か!)
すぐに血の臭いの出所を探る。
血の匂いが流れる場所は二カ所に分散していた。
二階と地下。二階へ上がる階段はすでに客や
二階の血の臭いより遙かに強烈で、かなりの血が流れていることが想像できる。地下には
そこは暗闇が支配していた。
暗闇に蒼い火花が飛び散った。暗闇の一部が微妙に人影を作っている。
「何者だ!」
暗闇を黒い物が切り裂いてくる。もう一度蒼い火花が飛び散った。
今度はお互いが近くにある。時雨の刀と闇の人影の持つ得物が交差している。その得物には何か、液体のような物が流れていた。
(毒!)
別の物を持っていなければ。
暗闇には荒い呼吸が響いている。
悲鳴とも、唸り声ともとれる声が暗闇に響き渡る。しかし、それだけだった。
時雨は戸惑っていた。
手応えはあった。
斬り抜いた感触は、身体の中の骨まで断ち切ったはずだ。しかし倒れた音はしなかった。
まだ生きている。
相手の
(いた! 階段の近く!)
「あ、ぅ」
闇がいるはずの場所から聞き覚えのある呻き声が聞こえた。
(お京さん?!)
お京の拍子・呼吸がする方にもう一つ
状況がつかめない。
このような場合、想像することは危険すぎる。暗闇の中で膠着状態が続いた。
しかし、その状況は突然破られた。
「いるか!」
地下一階に通じる扉が開け放たれた。差し込んだ光の先にはお京を盾にし、後ろに陣取っている暮色の服を着た者がいた。
その者は内蔵が半分程身体の外に出て、右腕も消えていた。それでもまだ、お京を片手で吊り上げて盾にしている。
「化け物……か」
それは上階からの声だった。聞き覚えのある声だ。
「毒!」
時雨は大声で叫んでいた。
一階の入り口に立っていた岡崎が真後ろに消えた。
そのまま
「殺すな!」
「無理!」
二人はそれ以上言葉は交わさなかった。
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店の入り口は混乱は収っていた。客はほぼ逃げだし、
しかし、足下が定まっていない。身体の半分が斬れているのだ。バランスの取りようはない。それでも左手には黒色の液体が塗られた刀のような物が握られていた。
「気をつけろ、刃に毒が塗ってある。多分即効性だ!」
二人は分かったというように頷いた。
しかし、もはや
二人が同時に動き、左腕と首が同時に身体から離る。
それでも
二人の
「死ね、死ね、悪霊ども! 殺してやる ひゃぁはははははは」
じたばたと暴れている。
岡崎と二人の
「気絶させた。
岡崎が黙って二階を指さす。時雨が二階にあがると、そこは悲惨な状況になっていた。
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