第15話
バルコニーに降り立って、スキルを解除する。やべえ。肩や腕だけじゃなく、足もフラフラだ。全身も筋肉痛でバキバキ、剣を支えに立つのがやっとこさ。
それでも気合でドラゴニュートを睨みつける。ヤツのことだ、遠くからでもすぐに俺を見つけるだろう。
え?もう見つかった。早っ!ドラゴニュートのヤツが俺を見ながら、ニヤリと笑ったように見えたのは気のせいか?
《小僧・・・おぬし何者じゃ?》
ん?何か声が頭に響いたような?きょろきょろと辺りを見渡す。
《儂が念話でおぬしに語りかけておる。おぬしは何者じゃと聞いておる》
これってテレパシーみたいなヤツか?何者と言われても、普通の日本人としか答えようがないだろ。
《日本人?ああ、異世界人か・・・ふざけた攻撃をしよってからに》
声の主がわかったぞ。あのドラゴニュートか。
《妙な液体まで浴びせよって、儂に傷をつけるとは褒めてやる。人間の分際で儂に楯突くとはいい度胸じゃ》
はん!!褒めてくれて、ありがとよ!!お前に褒められても、嬉しくないわい!!
《とはいえ、おぬしはここにいてはならぬ存在。おとなしく消えるが良い》
ふざけんな!!おとなしくなんか、消えてやらねえよ!お前に一矢報いなきゃ、俺がここにいる意味がないんだよ!!
《おもしろい。一矢とやらを報いてみるがいい》
言うや否や、ドラゴニュートが黒い翼を広げた。ものすごいスピードでみるみる近づいてくる。
・・・やっぱアイツ笑ってるよな。
嫌な予感がしたが、狙い通りなのは間違いない。
ここで時間停止だ。
俺はゆっくり飛んでヤツに近づいていく。お前のそのスピードが欲しかったんだ。今の俺は剣を持つのがやっと。カウンターをお見舞いしてやる。
俺はヤツの目の前で止まり、体勢を整えることにした。両手でしっかり剣を持つ。剣の向きは下で足も剣の柄に乗せる。ちょうどホッピングマシンをむりやり逆さにして乗った感じだ。そして剣の向きがヤツの動きと一直線になるように体の位置を微調整。切っ先は塩酸で爛れたヤツの左目だ。お前のスピードで串刺しにしてやる。
準備はできた。
「動け」
ドオォォォ~~~ンッッッ!!!!!
剣にしがみついていられず、吹っ飛ばされた。手足の骨もイッたかもしれない。でも、手ごたえありだ。
「どうだ⁈」
いや、確認はあとでいい。まずは「ストッ」
ゴオォォォッッ!!という音とともに、俺の視界が赤く染まった。
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