第7話 シマダとエピローグ

 チュートリアルさんはもういない。

 彼もまた異世界に迷い込んでしまった1人だったのだ。

 そして、この空間に『案内人』は1人しか居られない。そう言う決まりなのだそうだ。

 彼は待ち続けていた。この場に残りその後を継ぐ者を。

元の世界に戻るためには、別の人が『案内人』の役割を果たす必要があったのだ……


            ***


 そうして長い時が過ぎた。これで何人目の転生者だろう

「こんにちは、転生者さん。ボクは『チュートリアルさん』です。これからこの世界の説明を始めるんだけど……スキップも出来るから遠慮なく言ってね」

 イシダの前には、かつてはシマダだった人が輝くように立っていて、明るい声で話しかけた。


「ちなみに、説明動画も等速と倍速が選べるから好きな方を選んでね」

 以前の自分もそうだったように目の前のイシダは戸惑っていた。


「せ、説明はスキップで。ところで『岩』って選択もありですか?」

 残念、この人は残ってくれそうもないなぁ。

 まあ、いい。のんびり待つとしよう。時間はたっぷりあるのだから……

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

転生先の人生を決めなければ消えると聞いて焦っています はこにわにわに @702

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ