第4話 凱旋する男爵令嬢

「何ですって、領地に行くですって?」


「そうだ。第2王子殿下に王位を継いでもらう。運動をするのだ。

 しかし、金を配りすぎた。

 さすがに、今年の滞在費が底をついた。ロメリオ殿下も連れて行って、仲間にするぞ。陛下も頭を下げて頼まれた」


「まあ、陛下が頭を下げられたの」


「そうだ。まあ、婚前旅行、やってもいいぞ」


「まあ、お父様ったら、行程2週間ね。あんな田舎いやだけど・・・」


「分かりましたわ」


 そして、お父様とロメリオ王子殿下と共に、領地に向かった。


 内政チートが起きてから、一家で王都に移住したから、5年ぶりかしら。


 そこで、私は・・・・・


「城壁が出来ているわ・・・」

「・・・・・・・」


「第2王子殿下と男爵様一家でございますね。さあ、どうぞ!」


 ロメリオが、部隊名に違和感を持つ。


「平民解放軍第5部隊?失礼、これは、騎士団の名前ですか?」


「はい!輝く平民の太陽にして偉大なるナギル男爵様の代官サリア書記がお決めになりました」


 ・・・何、聞いてないわよ。ロメリオったら、門番の表札なんか気にして、

 ナギル家では、お父様の名前から取ってローガン騎士団という名だったのに、


 これは、サリアに言わなければね。


「ちょっと、サリアはどこ?どうして、出迎えないの?」


「はっ、執務中です。事前に、連絡を頂けたら、領民総出で出迎えました」


 フン、嫌みかしら。


 そして、私達は領主館に向かったが、


「おい、そこ!今、男爵様一家が来られている!ブタを積んだ荷車は、脇道に隠れろ!男爵様とお嬢さんがブタに似ていると侮辱する気か?」


「ヒィ、申し訳ないこって」


 ・・・何、私はふくよかよ。ブタ?に似ている。


「プ、クク、失礼、君の部下たちは、敬意の払い方を間違っているかな」


 不安が生じる。


「煙突が多い。一体、何かしら」


 街並みが変わっている。

 豪邸が並んでいるが、皆、貴族の服を着ている。


 あれは、昔の領民ね。

 そう、ここは、働かないでも暮らしていける夢の楽園。

 労働は、領地の外から来た出稼ぎがやってくれる。


 どういう仕組みか分らない。

 サリアは小難しいことばかり言って煙に巻くけど。でも、実践したから、いいわ。


「君の領地は、すごいな。市場を見たいがいいだろう」

「ええ」



 ☆☆☆旧市場


「ヒィ、市場が、レンガ作りの建物になっている」

「100の貨店・・百貨店と読むのか」


 豪華な商品が、高級なガラス窓から見える。

 王都にしかないオープンカフェが、いたるところにあり。


 昼間っからビールを飲んでいる人達がいる。


「ミランダ、僕が見たいのは、ここじゃない。あっちの幌の市場だ」


 こっちは、出稼ぎ専用ね。

 それでも、昔のトランダ領よりも立派だわ。


 お父様は、良く市場を見回れたわ。お兄様と一緒について行ったわ。


 ☆回想


『おい。まだ、菜っ葉の切れ端が、ゴミ箱にある。ということは、まだ、増税は可能だ。フランツ、ミランダ、覚えておきなさい』


『さすが、父上』

『はい!お父様』


『そ、そんな~』


 ☆☆☆屋敷


 午後すぎに、屋敷に到着した。

 屋敷は、昔のままだ。

 平民の豪邸よりも、見栄えが悪いくらいだ。


「屋敷に、赤旗が」


 我がトランダ男爵家の家紋、イノシシの横顔の隣に、赤旗が掲げられている。


「赤い・・」


 扉の前に、転生者がいた。

「サリア!」




「お久しぶりです。男爵様、そして、お初にお目にかかります。私は、ナギル領、書記長のサリアと申します。平民ですので、無礼があるかもしれません。ご容赦お願いします」


「初めまして、王国第2王子、ロメリオです。気軽に、ロメリオと呼んで下さい」

「では、ロメリオ様、男爵様、お嬢様、こちらへ」


 サリアは、中流の平民の服を着ている。

 護衛もつけていない。


 大金持ちになったはずなのに、


 そして、私たちは執務室に案内されたわ。


 ここで、王国を乗っ取る大事な会合が開かれるのよね。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る