第20話 レーオvsマーカス

放たれた火炎の大砲フレイムキャノン。その速度は速くバンバーには避けることも防ぐことも出来ない。

そのままでは火炎の大砲フレイムキャノンをモロにくらいバンバーは死んでいただろう。


だが、ここには俺がいる。


「ルーヴェ!」


俺がそう声をかけるとルーヴェが現れ白炎がバンバーを包み込む。


ドガン!!


「なんだと!?なんだこれは!?」


突然の白いものに自身の魔法を防がれたマーカスは驚きの声を上げる。


「それじゃあ俺は行ってくるからここで待っててくれ」

「分かった。気をつけてね」

「先生が来るのを待った方がいいんじゃないかな?大丈夫?レーオ?」

「レーオくんなら大丈夫ですよ。新人騎士と同じほどの実力があるって言われていたんですから」


という訳で3人の元からバンバーの前へと出る俺。それと同時にバンバーを包み込んでいた白炎を解除する。


「なんだお前は!お前もそいつの仲間か!」

「レーオ・・・なんでお前が・・・」


マーカスもバンバーも俺の登場に驚きを隠せない。


「マーカス・スポルティフォ。お前はバカだ」

「な!?」


突然の俺の暴言に驚きの後に怒り心頭の表情となるマーカス。


「あんな威力の魔法が当たればバンバーは死んでしまうだろう」

「そんな平民がいくら死のうが我々には関係ない!」

「だけど今の魔法で先生たちはすぐに来るんじゃないか?いくら貴族でも殺人を犯して問題ないとでも思ってるのか?」

「うるさい!うるさい!うるさい!お前もどうせ平民だろう!平民風情が俺に口答えするな!火炎の大砲フレイムキャノン3連!」


ボカン!ボカン!ボカン!


「ルーヴェ!空中だ!真ん中は俺がする!」

『かしこまりました』


ルーヴェは白炎でハンマーを作り出し上空へ左と右の火炎の大砲フレイムキャノンを吹き飛ばす。


そして俺はマーカスの真ん中の火炎の大砲フレイムキャノンを上空へため俺の魔法を放つ。


火炎拳ファイアナックル!」


拳に炎を纏いそのままアッパー気味に火炎の大砲フレイムキャノンの下部分をぶっ叩き、さらに拳に纏っていた炎を放射して上空へ吹き飛ばした。


「バカな!?俺の魔法が!?」


驚いて隙だらけのマーカスに向かって身体強化にて向かう。


ダッ!


「なっ!?」

「驚いてばかりだな」


ドゴン!


「ごはぁ!?」


そのまま吹き飛んでいったマーカス。そのままマーカスは起き上がってこなかった。


「・・・あんなんでよく魔物と戦えるな・・・」


まあ、俺を舐めていた結果だろうがあまりにも驚きすぎていて隙が多かった。だからつい1発で終わらせてしまった。


「・・・レーオ・・・お前・・・」


後ろには立ち上がったバンバ―が。


「え~と・・・これは・・・」


バンバ―からしたら疑問だらけだろう。いきなり現れたと思ったら命を助けられて苦戦していたマーカスを1発で倒してしまったんだから。


俺が悩んでいると一部始終を見ていたシェミール、セイレーレ、ミリヤがやってきた。


「レーオすごいよ!レーオってあんなに強かったんだね!」

「さすがは新人騎士並みの強さですね」

「ふふん!私のレーオを舐めないでよね!」


何故か勝ち誇るシェミール。すると、バンバ―が怒りの表情で俺に近づき俺の襟を掴む。


「なんだよあの強さ!なんだよあの速さ!なんだよあの魔法!ふざけんなよ!あんなの聞いてねえぞ!」

「・・・バンバ―・・・」

「俺がやっと互角に戦えるようになった相手を1発で倒すとかふざけんな!」


そう怒りの表情でだが泣きながら悔しそうに言うバンバ―。


「おい!お前ら何してる!」

「何の騒ぎだ!これは!」


やはり魔法の音で先生たちがここまでやってきた。生徒もいるが中にはビーラット先輩も。やってきた人たちへの説明はシェミールたちがやってくれている。


すると、今まで怒りながら悔し涙を流していたバンバ―が襟を話す


「・・・ふざけんな・・・俺は!いずれお前を超えて!絶対に騎士団長になってやる!絶対に負けねえぞ!レーオ!」


そう宣言して出ていくバンバ―。すぐに先生が追いかけていったけど。


「いいライバルが生まれましたね?」


いつのまにか俺の横に来ていたセイレーレ。


「うん・・・俺もうかうかしてられないよ・・・」


その後みっちり叱られた俺たち。もちろんこの国の学校は平等を売りにしているため教師は王女のシェミールも𠮟りつける。


そしてこの話は陛下や王妃様たちの耳にも入る。


「・・・レーオ・・・君がいればもっと穏便に事が済んだのではないのか?」

「はい・・・すいません・・・」

「シェミール・・・どうして昨夜記憶選択フォーチュンセレクトの話をしなかった?」

「・・・スポルティフォ家が怒られずにマーカス先輩が心を入れ替えてくれたらいいって思って・・・」

「・・・その結果マーカス・スポルティフォは学校内で生徒が死にかねない魔法を放ったために停学処分となり、スポルティフォ男爵も罰を受けることになったが?」

「「ごめんなさい/申し訳ありませんでした」」


俺とシェミールお嬢様は学校から帰宅後すぐに陛下と王妃様の場所まで連行され土下座をさせられている。


すると、今まで黙っていた王妃様が口を開いた。


「・・・レーオ・・・随分と強くなったおつもりのようですね?」

「え?」

「2人の計画はレーオが相手よりも強いのが前提の話となっていますが・・・もしマーカスくんが思っているよりも強ければ?もっと人数がいたら?そうは考えませんでしたか?」

「で、でもお母様?それは私の記憶選択フォーチュンセレクトで」

「ですが既に未来は変えられたのでしょう?レーオの手によって」

「それは・・・そうだけど・・・」

「未来を変えた以上どのような結果になるかは分からないのでは?そもそも記憶選択フォーチュンセレクトは強力な反面そう何度も使用できないので使用する際はギーグの許可が必要と言いましたよね?ギーグには言ったのですか?」

「・・・黙って使いました・・・」


記憶選択フォーチュンセレクトの意外なデメリットを初めて聞いた俺。


「・・・ハア・・・幸い軽症者のみで誰も重傷者がいなかったからよかった・・・だが!今後はもっと報告をするように!」

「「はい、ごめんなさい/申し訳ありませんでした」」


こうして怒られた俺とシェミールだった。

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