第21話 厳しくなった戦闘訓練

その後の学校生活は特筆すべきことのないものだった。大変なのはよりスパルタになったレトゥナンさんとの戦闘訓練の方だ。


「話は聞いたぜ?なんだか調子に乗ってるらしいじゃねえか?」

「いやぁ〜?別にそんなことは無いですよ?」


別に俺自身には調子に乗っている自覚はない。でも、確かにシェミールお嬢様の記憶選択フォーチュンセレクトで俺がマーカスを圧勝したって聞いたし特に警戒も何もしなかったのは事実だ。


未来を変えた以上何が起こるか分からないのはその通りなんだけど、急激に強くなるなんてことも起こり得ない以上王妃様の言葉は一部間違っている。


それにバンバーとの戦いを見てマーカスの実力は理解していたし。


「・・・でも、俺はシェミールお嬢様の使用人としてシェミールお嬢様の護衛も担っていると自負しています。なのでシェミールお嬢様が危険に遭遇する可能性があるのなら今後は報告しなければとは思ってますけどね」

「・・・なんだよつまんねぇ。もっと調子に乗りゃあいいじゃねぇか?お前は小1で新人騎士を倒したんだぜ?」

「定期的にレトゥナンさんにボコボコにされているのに調子になんて乗れませんよ」

「まあ、でも陛下や王妃様の命令だからな・・・最強になるためだと思って頑張れよ?」


そうレトゥナンさんが言った後に登場したのは4人の騎士の人たち。


「え〜と・・・この人たちは?」


嫌な予感のした俺はレトゥナンさんに聞いた。


「各騎士団で将来有望の新人騎士たちだ。これからレーオには連続で戦ってたもらう。1人倒すごとに次の対戦に移る」

「・・・休憩はどれぐらい貰えるんですか?」

「あ?そんなもんある訳ねぇだろ?後ルーヴェは禁止な。もちろんこっちの新人騎士たちは相獣と戦ってもらうけどよ」

「いやいやそれは!?いくらなんでも死んじゃいますよ!?」

「安心しろよ。治療部隊は用意してるからよ。んじゃあ始めだ」


そうして始まった対決。レトゥナンさんが言っていた将来有望な新人騎士と言うだけあってこの前勝った騎士の人よりも強い。


「ポウ!」

「|水あられ(ウォーターレイン)!」


騎士の人は魚の相獣と一緒に俺に水の弾丸のようね物を放ってくる。


火炎銃ファイアバレット!」


火炎銃ファイアバレットは何発も放つ火の弾丸。これで対抗しているけど手数が違う。


「くっ!?ぐあっ!?」


何発か喰らってしまう。威力こそ低いものの何発も喰らったらダメージは大きくなる。


「今だ!行くぞパラウ!豪水の槍アクアスピア!」

「ポウ!」


魚の相獣と合わせて巨大な水の槍を放った。


「くそっ!?」


これほどの大きさの水を弾くことも今の俺には出来ず避けるにも間に合わない。


ダバーン!


「よっしゃあ!どうだ見たか!これが騎士の実力だ!たかが7歳の子供に負ける訳が・・・」


それ以上新人騎士は言葉を発さない。なぜか?それは俺がから姿を現したから。


避けることも弾くことも出来ない状態にあった俺は床を溶かすことで地面に逃げた。お陰であちこち火傷なんて言葉では生温い痛みを伴ったけど動く事は出来る。


火炎逆噴射ファイアエンジン!」


背中からすごい勢いの炎を噴射。高速移動で新人騎士の前までやってきた。


「!?水のウォーター!?」


魔法をでの防御を考えた新人騎士はしかし俺の方が魔法発動は速かった。


火炎拳ファイアナックル!」


新人騎士を火炎拳ファイアナックルにて殴り吹き飛ばす。


「ごはっ!?」


これにて結構な重傷を負いつつもなんとか勝つことのできた俺だった。だけど本当にきついのはここからだった。


「ハア・・ハア・・ハア・・ハア・・ウッ!?」


俺が膝を付いて苦しんでいるとレトゥナンさんの声が聞こえた。


「おら次ー。さっさといけー」


なんとこれだけダメージを負っている俺を見て治療もしてくれないらしい。この事にはさすがの連れてこられた新人騎士も二の足を踏む。


「いやでも・・・まずは治療を先にしたほうがいいんじゃ?」

「・・・ってことだが・・・どうするよ?レーオ?」


俺はそのレトゥナンさんの言葉に返事次第では休憩も出来たかもしれないが俺は継続を選んだ。


「・・・お願いします・・・ハア・・ハア・・」


そうして傷だらけの俺だけどその新人騎士の人にもなんとか勝利をもぎ取った。でもさすがに一歩も動くことが出来ないのでそこで治療タイムとなった。


「情けねえな~レーオ・・・たったの2人か?」

「・・・すいません・・・」


俺がレトゥナンさんにがっかりされているとまだ戦っていない新人騎士の人が否定してくれた。


「いやいや!?たったの7歳が高校の成績トップで卒業した俺たちを相手に2連勝出来た時点で異常ですよ!?これ以上何を求めるんですか!?理解できません!?」


それが普通の感性の持ち主の言葉だろう。


「ああ?なに馬鹿言ってんだ?わざわざ大陸を渡った国で奴隷商から連れてくるような子供が異常じゃねえわけねえだろ?こいつには何かあるってぐらい察しろよ?いつまでも学生気分でいてんじゃねえぞ?」


ちなみに俺の情報は全然秘匿されてない。なのでこの騎士の人も当然その事は知っていたはずだけどそこまでは考えが行かなかったようだ。


その後もスパルタは続く。

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