第18話 観戦
翌日となり登校する俺たち。念のために陛下や王妃様やビーラット王子にはシェミールお嬢様が夕食時に報告済み。
俺は使用人なのでその話はあとでシェミールお嬢様から聞いたことだが陛下からスポルティフォ家に厳重注意をすると言ってくれたようだ。だが、シェミールお嬢様曰く明日という事なのでおそらく間に合わないだろう。
さらにビーラット王子からは何をするか分からないから十分注意するように言われた。
「じゃあね?気を付けるんだよ?レーオ、妹を頼んだよ」
「お任せくださいビーラット先輩」
一緒に登校しているビーラット先輩が1人歩いていく。
「・・・本当によかったのですか?本当の事を話さなくて?」
そう。今回は
「うん。だってお父様とかに言っちゃうと大事になっちゃうでしょ?そんなことになったらスポルティフォ家もなにか言われるかもしれないから」
「スポルティフォ家の心配ですか?ですが今回悪いのは相手ですよ?」
「でも、スポルティフォ家は敵じゃないでしょ?」
「(国の事を考えての行動か。7歳とはいえさすがは王女様だな)」
そう俺がシェミールお嬢様に感心しているとシェミールお嬢様がこちらを向いた。
「ちなみにもう学校内だよ?」
「ああ、そう言えば・・・」
学校内でも敬語で話していたことをシェミールに指摘された。やっぱり中々切り替えが難しい。
その後教室に行くとバンバ―がもう既に来ていた。だが、なんとなく雰囲気が違う気がした。
「バンバ―おはよう!」
「・・・・」
シェミールが挨拶するもバンバ―は何かを考えているのか聞いていない。なので思い切って耳元で大声で叫んでやることにした。
「バンバ―!!」
ガタン!
すると、バンバ―は驚き椅子から転げ落ちた。
「いてて・・・レーオてめえ!びっくりさせんじゃねえよ!」
「お前が聞いていないのが悪い。で?何考えてたんだ?」
「・・・何でもねえよ・・・」
分かりやすいほど態度を変えるバンバ―。すると、先に来ていたセイレーレとミリヤが会話に入ってきた。
「さっきからずっとこの調子なの。どうしたの?って聞いてもなにも教えてくれなくて」
「何かあったのは確実なのですが」
その後もあれこれ聞いていくも一切話してくれないバンバ―。さらに極めつけは、
「俺、今日は昼は用事があるから。みんなで食べてくれ」
こう言う始末。そして案の定これについてもなにも教えてはくれなかった。だが、俺とシェミールはここで確信していた。おそらくマーカスはもう既にバンバ―に接触していると。さらに時間は昼休みの時であると。
それから授業が進み昼休み。
「んじゃあ言ってた通り俺は用事に行くからよ。じゃあな」
そう言っていってしまうバンバ―。俺とシェミールは頷き合う。
「それじゃあ行きましょう」
「で、できるだけ低くしていくね」
それはセイレーレとミリヤ。どうやらこの2人には今から俺たちがバンバ―をつけようとしていることを知られていたらしい。
「ち!?違うよ!?私たちはバンバ―を追ったりしないよ!?」
「・・・すべて言ってるよシェミール・・・」
「あ!?」
慌てて口を押えるももう遅い。
「私たちもバンバ―とは友達だよ。気になるよ」
「昨日の今日ですしね。それよりも追わなくていいのですか?」
そうこうしているうちにバンバ―は既に見えなくなった。
「ああ!?バンバ―いない!?」
「しょうがないからみんなで行こう」
と、いうわけでバンバ―が向かったほうを走っていき道中で人に聞いたりしてバンバ―の場所を突き止める。
するとそこでは既にバンバ―がマーカスと対峙していた場面だった。
俺たちはその現場を見つけると慌てて隠れる。
「レーオ!バンバ―がいたよ!助けてあげて!」
当初の予定ではここで俺が出向き代わりに戦う事でバンバ―が無傷となる予定だったが俺は予定を変更した。
「・・・シェミール・・・バンバ―が危なくなるまで見ていよう」
俺のこの言葉に驚くシェミール。当初の予定とも
「レーオ!?どうして!?」
「シェミールちゃん。もう少し声を抑えてください。バレてしまいます」
「な、なに?どうしたの?2人とも?」
そう2人に言われ一旦落ち着くシェミール。
「シェミール・・・あいつの将来の夢は騎士団長になることだ・・・だったら多少の危機は経験しておいた方がいい」
「でもそれって今しなくちゃいけないことなの?まだバンバ―は7歳なんだよ?」
「4年生になれば魔物とも戦わなくちゃいけないんだとしたら、ここで実戦を経験していてもいいんじゃないか?それにいざとなったら俺が行くし」
もちろんこれだけではない。何の確証も無いしほぼ直感でしかないけどバンバ―にはとてつもない才能がある。そんな気がする。
「・・・絶対だよ?私友達が大怪我負うのは見たくないの・・・」
「ああ、大丈夫・・・バンバ―は絶対に大怪我は負わない・・・」
こうして俺たちはバンバ―vsマーカス戦を観戦することにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます