第9話 使用人のレーオ
科学についての会議は終わったので俺やシェミールお嬢様、王妃様も部屋を後にした。唯一ビーラッド王子は残ったけど。
「(よっぽどビーラッド王子は信頼されてるんだな)」
その後は王宮の案内や師匠から今後についての説明を受ける。
「いいですか?これからまもなくするとシェミールお嬢様はユーラオス小学校に通うことになります。ちょうどレーオも同い年ですし生徒として通えばいいでしょう」
「(まさかまた小学校に通うことになるとは)」
「さらに学校から帰ってきたときは使用人としての訓練と戦闘の訓練も受けていただきます」
「え?使用人の人も戦えるようになる必要があるんですか?」
「いいえ。これはレーオだからです。もう既にゲイズ宰相がレーオへの戦闘指導員をお決めになりました。今日はもう遅いので明日から戦闘の訓練が開始されるとのことです」
「(やること速いなあの人。まだ会議中だよな?)」
と、いうわけでその後は夜ご飯を食べ夜も更けてきた頃にあてがわれた自身の部屋で就寝。
*****
バシン!
「いて!?」
急な衝撃に寝ていた俺は跳び起きる。すると俺の部屋に師匠が。
「ふぁ〜・・・なんで師匠が?ここ俺の部屋ですよ?」
「・・・どうやら使用人としての自覚が無いようですね・・・クーファ」
「ゴア」
突如出てきたゴリラ。このゴリラは師匠の相獣。家事を完璧にこなすゴリラだ。
「・・・あれ?・・・」
ドシン!
頭をゲンコツのように殴られた俺。
「ふわぁ〜・・・ねみぃ・・・なんで起こしてくれなかったんだよ?ルーヴェ?」
俺がそう呼び掛ければ今まで姿を消していたルーヴェが姿を現した。
『昨日の寝る前にマスターがもう起こさなくて良いと
「・・・そういやそうだった・・・」
船では師匠に早朝から起きるように言われていたからルーヴェに起こしてもらったんだけど、もうそれは終わったって勘違いしたのか。
「なんて馬鹿なんだろうか俺は」
『次からは起こしますか?』
「ああ、頼む。俺が起きなそうだったら起こしてくれ」
『かしこまりました』
現在俺は王宮の早朝の掃除中。この後はシェミールお嬢様のお付きの使用人として午後までシェミールお嬢様のお世話。さすがに着替えとかは女性の使用人の人がやるけど。
「レーオ。そろそろ時間です。シェミールお嬢様を起こしてきなさい」
師匠がやって来てそう指示を受ける。
「かしこまりました」
俺は指示通りシェミールお嬢様を起こしに行く。
「いくら俺がシェミールお嬢様お付きの使用人だからって着替えは別の人がやるんだから俺でなくてもいいのでは?」
疑問に思う事もあるもののすぐにシェミールお嬢様の部屋へ向かう。この世界では7歳で既に1人部屋で寝ている。
「家が広いとこうなんのかな?」
そんなことを言っていたらシェミールお嬢様の部屋に着いた。
コンコン
「シェミールお嬢様!レーオです!起きてますか!」
扉の外で声を掛けるも返事はない。どうせ寝てるんだろう。
「失礼いたします」
ガチャ
扉を開けると案の定シェミールお嬢様は寝ていた。俺は寝ているシェミールお嬢様に声を掛け起こす。
「シェミールお嬢様!起きてください!朝ですよ!」
近くでそう言えばさすがのシェミールお嬢様でも目を覚ました。
「・・・ん~・・・おはようレーオ・・・」
「はいおはようございますシェミールお嬢様。もうすぐに使用人が来ると思いますのでそのまま起きていてくださいね」
「・・・なんでレーオはやらないの?・・・」
「そういうものですから」
「そうなの?」
7歳だとこんなに男女を気にしないものか?まあ、俺が気にすることもないか。
その後女性の使用人が来てくれたので俺はシェミールお嬢様の着替えが終わるまで扉の外で待機。
ガチャ
「お待たせレーオ。行こう」
その後はみんなで朝食を取った。もちろん俺たち使用人は別の部屋で順番に朝食となる。この時に指摘されるのが早くそしてきれいに食べる事。これが中々に難しく師匠に怒られた。
その後はお嬢様と庭を見て回ったり絵本を読んだりおままごとをしたり。色々遊んだ。そして午後となりこの後は習い事の時間となるシェミールお嬢様。その間に俺はゲイズさんが用意した戦闘指導員の方から戦闘訓練を受ける予定となっている。
「楽しかったー!ありがとうレーオ!来てくれて!」
「私としましてもこの世界に来てからこんなに楽しかったのは初めてです」
「じゃあ!これからも一緒に遊ぼうね!」
「当然でございます。私はシェミールお嬢様の使用人ですから」
そうして俺とシェミールお嬢様は分かれた。
「確かこの後は騎士訓練場だったよな?ルーヴェ?」
そう言えば今まで消えていたルーヴェが姿を現す。
『そうです。そこで戦闘訓練とのことでした』
「楽しみだな!何気にルーヴェの戦う姿も見たことないしな。強いんだろ?」
『将来のマスターに付き従う力はあると自負しております』
俺の夢は最強になる事。それに付き従う力があるという事は己は最強だと言っているようなもの。
「ふ~ん。それは楽しみだな」
俺は心躍らせながら騎士訓練場へと向かう。
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