第10話 相獣vs相獣
王宮近くの騎士訓練場へと向かった俺。するとすでにそこには2人と2匹の相獣が。
「あれかな?でも、なんで2人?」
『行けば分かるのでは?』
「まあ、それもそうなんだけどな?」
とりあえず待っているみたいなので足早に向かう。
「遅れて申し訳ありません」
「気にすんな。使用人としての仕事もしてんだろ?大変だな〜お前も」
「俺らも今来たばっかだからな」
そう言って軽く話した後に自己紹介。
「私の名前はレーオ・シルベスタです。そしてこっちが相獣のルーヴェ」
『よろしくお願いします』
俺たちが自己紹介をすると2人がルーヴェを見ていた。
「まじで人型か。実際に見るまで信じられなかったぜ」
「ですね。しかも喋れないみたいですが意思疎通は出来るみたいですし」
「(そんなことを言ってないで早く自己紹介をしてほしいんだけど?)」
その思いがルーヴェに伝わったのかそれともルーヴェも同じ思いなのか。ルーヴェが伝えてくれた。
『次はあなた方の番では?』
「おっとそりゃそうだ。俺はレーオの戦闘指導員となるレトゥナン・ボラー。で、こいつが俺の相獣のナーボだ」
「フゴ!」
レトゥナンさんは強そうなおじさんキャラ。50代後半かもしれない。そしてナーボは猪だった。
「んじゃあ次は俺だな。俺の名前はウーガン・マントリー。第2騎士団の騎士団長だ。そんでこいつが俺の相獣のガントだ」
「ガア!」
ウーガンさんはレトゥナンさんよりも若い感じ。でも30代か40代ぐらいかな?そしてガントは虎だった。
「坊主。団長が戦闘指導員で良かったな」
「その呼び方やめろって言ってんだろ?俺はもう団長じゃねぇんだ。今の団長はおめぇだろ?」
「この人は俺の前の第2騎士団の騎士団長だったんだ」
「(で?なんで戦闘指導員じゃない人がここにいるの?)」
俺の疑問が通じたのかどうなのか。説明が入った。
「今日はまずお前の相獣の実力を試そうと思ってな」
「ルーヴェの?」
「ああ、相獣の実力は変わることがない。だからこそレーオが戦闘の素人でも相獣は強いなんてザラにあるんだ。そのために騎士団長のウーガンに来てもらったってわけよ。レーオは火属性って話だからな。試すなら同じ火属性の方がいいだろうと思ってよ」
と、いうわけでまずはルーヴェの実力を見た為にルーヴェ対ガントの対決となった。どうやら相獣同士の対決らしい。
「俺まで出たら不公平だからな」
そこで俺はふと気になった事を聞いた。
「あの?相獣って死んじゃったらどうなるんですか?」
「ん?なんだ知らねぇのか?」
「相獣は死ねば3日後に復活する。だから人間の俺らが死なない限り相獣に本当の死は訪れない」
へぇ〜、そうなんだ。本当に俺って知らない事だらけだな。
「それじゃあ始めるぞ?・・・」
戦闘指導員のレトゥナンさんが審判のような役割となり間に立ちルーヴェとガントが対面に立つ。
「・・・はじめ!」
レトゥナンさんが開始の合図を送る。
「ガア!」
すると、なにやれ炎に包まれるガント。
ダッ!
炎から出てきたガントは鎧のようなものを身に纏っている。どうやらあれがガントの能力なのかもしれない。
近づくガント。その速度もすごく速い。それに対抗するようにルーヴェも動く。
ボン!
ルーヴェが黒炎の丸い塊を発射。それをガントは突撃するかと思われたが当たる直前で後ろに下がった。
ボン!
黒炎はガントに当たらなかった。
「・・・ガア・・・・」
「どうしたガント?あの黒炎に何かあんのか?」
「ガア!ガア!」
ガントが吠えるので黒炎に視点を移せば黒炎が地面を燃やしながら沈んでいっていた。
「・・・すげぇ・・・なあ?ルーヴェ?どうなってんだ?」
『黒炎は破壊の炎です。私が止めない限り地面でもなんでも破壊し続けます』
すると、地面に沈んでいた黒炎が消えた。どうやらルーヴェが消したらしい。というかあれって破壊なのか?
「・・・おいおい・・・とんでもない能力だな・・・」
「これが・・・人型の相獣の力ってわけか・・・」
「・・・あの?さすがに危険過ぎますかね?」
あまりにもな黒炎の威力にマスターの俺も引いてしまった。
「あ?ターロス国の騎士団長の相獣を舐めんなよ?いけるだろ?ガント?」
「ガアアア!」
その遠吠えはまるで舐めるなと言っているかのようだった。
そして試合再開。
「ガア!」
火の鎧はそのままにまたしても突っ込んでくるガント。それを先ほどと同じく黒炎を放つ事で対応するルーヴェ。
ボン!
今度は後ろに避ける事なくそのまま突っ込んでいき黒炎がぶつかったガント。しかしウーガンさんは一切心配していない。
すると、なんと破壊の黒炎が当たったはずのガントが黒炎の中から出てきた。
「ガア!」
しかし出てきたガントはすぐに着たが一瞬鎧を着ていなかった。
『鎧を脱いだようですね』
どうやら鎧を脱ぐことで黒炎を無効化したらしい。鎧が無い部位の黒炎も剝がれているという事は見た目通りの鎧ではないという事か。
迫りくるガントはルーヴェに爪の一撃を入れようとする。しかしそれは身体の前に白炎で出した壁で防ぐ。すぐに壊される壁だがルーヴェは下がっていて次の手に移っている。
ドドドドッ!
黒炎の塊を矢継ぎ早に放つ。あまりの数の多さに逃げ回るガント。
「中々に面白い戦いじゃねえか」
「っすね!団長!がんばれ!ガント!」
完全に観客モードとなっている2人。しかしその応援が届いたのかガントが動いた。
今まで逃げ回っていたガントだが急に無数の黒炎に向かって突撃しだした。
「なんであんな?」
「まあ見てろ!あれが俺の相棒よ!」
自信満々のウ―ガンさん。今まで逃げ回っていたのは火の鎧の着脱に時間がかかるためあんな矢継ぎ早に放たれたら出来ないからだと思わされていた。
「ガア!」
なんとガントは瞬きよりも速いスピードで着脱を行うことが可能だったらしい。するとどうして最初からそれをしないのかという疑問が浮かぶが。
「これが理由だったのか!?」
ガントは逃げながらも一歩も動いていないルーヴェに少しづつ近寄って来ていた。そして気を見て勝負に出た。
迫ってくるガントを白炎の壁をギリギリ出して守ったルーヴェだったがガントは予想済みのようにジャンプをして壁を超える。
「ルーヴェ!?」
「やっちまえ!ガント!」
ドン!
「キャイン!?」
壁を超えられ万事休すかと思われたルーヴェだったがしかし吹き飛んだのはガントだった。
「・・・読んでやがったのか・・・」
どうやらルーヴェは上空を超えてくると読んでいたらしくすでにそこには蹴りが放たれた後だった。ガントはその蹴りに吹き飛ばされたという事らしい。
『・・・のちに最強になるマスターの相棒ですので・・・』
こうして強さを見せつけたルーヴェだった。
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