第2話 シェミール・イル・ターロス
その日も雑用をこなしていた時。
「(そろそろ逃げようかな?なんか最近護衛の人たちの目が怖いんだよな〜?)」
もしかしたら身体強化をしているのがバレたという可能性もある。さらに言えば俺が知らないだけで魔力感知の方法があるという可能性も存在するだけに、俺の今までの全ての行いがバレていたなんて事態も?
「(そうなったらなんで指摘しなかったのか?とか気になるけどそれ以前にバレていなかったと思っていた自分が恥ずかしい。どうか魔力感知の方法はありませんように)」
そう祈っていると主人から声が掛かる。
「お前に買い手がついた」
そう言ったのだ。ずっと黒髪を気味悪がられ買われなかった俺だけどとうとう買い手がついたらしい。
案内された部屋に行くとそこには猫を持っている同い年ぐらいの女の子と騎士甲冑を着た2人。一方は鳥を肩に乗せ一方はカンガルーが隣にいる。
「黒髪はこいつですが?本当によろしいんですか?」
主人は何気に俺に相当な雑用を押し付けているので買われるのを嫌がっている。
女の子は猫を撫でながらじっと俺の顔を見る。
「この子で間違いないんだよね?」
「にゃあ」
急に猫に話しかける女の子。
「(やっぱりあれって相獣なのかな?)」
俺に出来ることは何もないので成り行きを見守っていると。
「ではこちらが50万
「・・・確かに・・・」
「(おお!50万Hで買ったよ!主人が俺につけれるギリギリの値段にしたのに・・・なんでそんなに俺を買いたかったんだろう?)」
ちなみにこの世界のお金は。
単位はH=ハーツでそれぞれ鉄貨=1H。大鉄貨=10H。銅貨=100H。大銅貨=1000H。銀貨=5000H。大銀貨=1万H。金貨=10万H。青金貨=100万H。赤金貨=1000万H。白金貨=1億H。黒金貨=100億H。
となっている。だから俺は金貨5枚分ってことだ。
その後色々と手続きが終わり正式に俺は女の子に買われた。
そして俺を買った主人の女の子が俺に近寄ってくる。
「これからよろしくね。私の名前はシェミール・イル・ターロス。こっちが私の相獣のシャミーちゃん」
そう自己紹介中のシェミールを遮り護衛の騎士が話しかける。
「お嬢様。自己紹介は馬車の中で致しましょう。もう時間がありません」
「分かった」
そう言ってシェミールお嬢様が俺の手を握る。
「行こう!」
「う、うん」
その輝くばかりの笑顔に押され気味になり返したと俺は乗った馬車の中で改めてな自己紹介となった。
「改めて自己紹介ね。私はシェミール・イル・ターロス。こことは違うもう1つの大陸にあるターロス国の王女なの」
護衛とかついてるしまさかと思ったけどまさかだった。
「あなたは?」
「僕はレーオ・シルベスタ。7歳です」
「そうなの!同い年だね!レーオ!」
俺の名前のレーオ・シルベスタは両親が名前を付けなかったから奴隷商で適当に付けられた名前。それにしてはカッコイイんじゃないかと思ってる。
「この2人は私の護衛なの。2人ともとっても強いんだよ!」
ちなみに2人の相獣は鳥は空を飛んでカンガルーは馬車の外を走っている。
「俺はアルフレア・ニッドロー。空に飛んでいるのが俺の相獣でルフだ。これでも第1騎士団の騎士団長の地位についている」
「私はワンドリ・ハーマット。外を走っているカンガルーが私の相獣でリドっていうの。アルフ騎士団長を支える第1騎士団副団長をしているわ」
どうやらターロス国では騎士団は4つ存在しそれぞれの騎士団長がターロス国最強の存在で四大騎士と言われているらしい。
「・・・最強・・・」
俺は自然と目をキラキラさせてアルフレッドさんを見ていた。
「大丈夫だよ。君はいつか世界最強になるから」
アルフレッドさんを尊敬の眼差しで見ていた時シェミールお嬢様が当然のことのようにそう言ってきた。
「それってどういう事でしょうか?・・・それにどうして僕を買ったんですか?」
そもそもとしてどうして別大陸の国の王族が大陸を超えてここにいるんだ?分からないことが多いな。
「じゃあ最初から経緯を説明するね。本来は私はヨトゥン王国に来る予定じゃなかったの」
「そうなのですか?」
「うん。今回はお父様が大事な用事でヨトゥン王国に行くってなったんだけどね?気になったから
「1つはお父様に危機が迫る未来だった。もう1つは何も起こらない未来。そして3つ目がこうして私がレーオと楽しく話している未来」
「・・・なるほど・・・それで3つ目を選んだというわけですか・・・」
だけどそれだけだと俺が世界最強になるという言葉はどこから?
「そして3つ目を選んだ時に変なことが起こったの」
「変な事?」
「うん。今までそんなことは無かったんだけど・・・突然遥か先の未来でレーオが戦ってるシーン・・・黒い炎と白い炎を使いこなして敵を圧倒して・・・その姿に私は・・・」
チラッと俺を見て頬を赤らめるシェミールお嬢様。
「(え?なにこの反応?まさか・・・)」
シェミールお嬢様のその反応に戸惑っていると解説してくれたのがワンドリさん。
「どうやらお嬢様は未来の君を好きになったんだって。よかったねレーオ君」
面白そうに笑いを堪えているワンドリさんと苦笑しているアルフレッドさん。
「(7歳の子に未来の俺を惚れられてもな)」
俺たちは馬車に乗りながら船へ向かう。
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