第3話 ターロス国に向けて
「そう言えばどうしてヨトゥン王国に来たんですか?」
「え〜と・・・」
シェミールお嬢様は言うのを悩んでいるのかそれとも覚えていないのかどっちだろう?
「お嬢様、国交樹立のためでございます」
「そう!こっこうじゅりつってやつのためなんだって!」
「なるほど・・・そう言う事でしたか・・・」
国交樹立は国家間での交易どうこうだっけ?前世がバカだからあんまり合ってるのか分かんないや?
それでもなんとか分かってふりをする。実際に合ってるかもしれないし。
「ほう?7歳で国交樹立を理解するのか?さすがは転生者か」
「!?」
そう言ったのはアルフレッドさん。その予想外の一言に驚愕のあまりなにも返せない俺。
「・・・なんで・・・」
絞り出したのはその一言のみ。それに返してくれたのはシェミールお嬢様だった。
「私の
「・・・言ってた?俺がですか?・・・」
「うん」
俺の口から前世について説明するってどう言う状況だ?・・・可能性としては良い人でターロス国を良くしたいって思った俺が喋ったとかか?
「・・・あの?
「あるよ。その選んだ未来によってまちまちだけど今回は数ヶ月とかかな?もちろん数ヶ月を全部とかじゃ無いけどね?」
数ヶ月で喋ったとかよっぽど良い人ばかりなのか?・・・行ってみれば分かるか。
「だから不思議だったんだよ。いきなり大人のレーオ君の戦ってる姿が映ったから」
ああ、さっき言ってたやつか。確かにその話を聞くと変だな。
「お嬢様もうすぐで到着です」
「分かった。相獣の事がまだだけどそれは後で聞くね?・・・そうだ!到着したらお父様にも紹介しないとね!」
そういえばまだ俺の相獣のルーヴェを紹介してなかった。と、いうか出てきてくれるかな?結構人見知りなんだけどな?
というよりまさか黙って俺を買ったとか言わないよな?流石に無いか。大金持ってたし。護衛も騎士団長と副騎士団長だし。
馬車の窓から外を見ればこの世界初めての景色だった。
「(そう言えば俺・・・奴隷商から外に出るのも初めてなんだよな・・・)」
初めて見た異世界の街並みは人で賑わっていた。子供は駆けまわり店を人が出入りして剣や槍などの武器を持ちそれら皆が相獣と思われる動物とみんな一緒に生活している。
「・・・いいなみんな・・・」
何気なくそう呟いてしまった俺のその言葉を聞いてかシェミールお嬢様が突如俺を抱きしめた。
「・・・大丈夫だよ・・・これからいっぱい楽しい事を一緒にしようね・・・」
「・・・シェミールお嬢様・・・」
奴隷として買われた俺だけど未来の俺が前世を話したのが分かったかもしれない瞬間だった。
それから言った通りすぐに船が見えた。でかい大型船でその前には何人もの人が行き交い、明らかに他の人とは服装が違う人が何人か。
「あ!お父様だ!」
シェミールお嬢様が窓から身体を出し手を振る。
「お父様ー!」
その声に気がついた1人の男性がシェミールお嬢様に手を振りかえす。どうやらあれがシェミールお嬢様のお父さんのターロス国の国王その人らしい。
「あれがギーグ・イル・ターロス国王陛下でそして隣にいるのが宰相のゲイズ・トランザー様よ。これからレーオくんがお仕えする方々だから覚えてね」
そうワンドリさんが耳元で教えてくれた。俺はそれに頷きで返す。
そして馬車は2人の前で止まりシェミールお嬢様が外に出る。
「お父様ー!」
国王陛下へ抱き着くシェミールお嬢様。
「どうだった?怖くは無かったかシェミール?」
「うん!だってアルフとワンドリがいたもん!」
シェミールお嬢様が降りたのに続いて護衛のアルフレアさんとワンドリさんそして俺も外に出る。すると視線は俺に移る。
「・・・君か・・・シェミールが言っていた子供は・・・」
じっと見られている俺。
「(というか睨まれてる?なんで?俺初対面だよね?)」
なんでか俺を睨んでくる国王陛下。だがすぐに宰相と紹介されたゲイズさんが国王陛下の頭をはたく。
バン!
「いた!?なにをするゲイズ!?」
「こんな子供を睨んでどうする?シェミールちゃんは未来のこの子を好きになったのであってこの子じゃないぞ」
「それは分かっている!だが父親としてはだな!ここはガツンと!」
「いかんで良い。そもそもまだ自己紹介すらしてないというのに・・・続きは中で行おう。行くぞ親バカ陛下」
「分かったから引っ張るな!ゲイズ!」
あれが国王陛下?・・・宰相の方も随分とフレンドリーな・・・
「あの2人は子供のころからの親友でね?小さなときに大人になっても関係は変えないようにしようっていう約束を守ってるんだって・・・いい話だよね~・・・」
そう呟きながら船に向かって歩くワンドリさん。
「(確かにいい話ではあるけど・・・それを守れるようになるには相当大変だっただろうな・・・)」
そんなことを考えながら俺も船の中へと歩き出す。
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