奴隷転生~気味悪がられ売られた赤ん坊は最強へと至る~

プラントスクエア

第1話 赤ちゃんで奴隷に売られました

吾輩は赤ちゃんである。名前はまだない。冗談のように言っているがどうやら俺は転生したらしい。


まさかの転生。産まれた瞬間から意識がありなぜか見え聞こえた俺はその手の作品が好きだったのもありすぐに転生だと確信し喜んだ。どんな異世界チートが出来るのか夢みていると、


「なにこの子・・・黒髪で気持ち悪い・・・」

「・・・こんな気味の悪い化け物は息子ではない・・・」


そう言って黒髪らしい俺は両親に気味悪がられ奴隷商に売られてしまった。


そして現在に至る。


「(まさかの奴隷からのスタート?そんなのは作品上だけでいいんだよ!たかが黒髪っていうだけで売るなよ!)」


そう文句を言った(思った)俺だがずっと気になることがある。


「(この子誰?」」


それは俺の胸にちょこんと乗っている小さな妖精のような存在。


「(本当に妖精なのでは?異世界だし)」


しかし小首を傾げるのみで会話は出来ない。気にはなるものの現状動くことも出来ない俺としては放置するしかない。


そしてこういう時に物語の主人公がよくやっていたのは魔力の増大である。


「(こういうのは大抵魔力があるもんだろう?魔力チートだろ?)」


魔力チートを信じて体内を探る。1日たち2日たち3日たち。世話をされながらひたすらに魔力を探る。すると、


「(お!?まさかこれは!?)」


俺はとうとう体内の異物を発見した。これが魔力かどうかは分からないが魔力と仮定して動かしてみる。


「(む?ゆっくりにしか動かないな?)」


動くには動くがゆっくりにしか動かない。しかし他にやることもないため動かしていく。


約半年が経つ頃には俺は結構の速度で魔力を動かせるようになった。


「(なんだかも大きくなったか?)」


ルーヴェと名付けた妖精のような子が最初は赤ちゃんの俺のお腹の上に乗ってたんだけどそれが出来ないぐらいには大きくなった。


そしてこのルーヴェだが、人見知りをするのか他の人がいる場所では隠れる。


「(本当なんなんだろうか?この子は?)」


色々と疑問に思うもののやはり放置以外ない。


「(とりあえずルーヴェは置いといてそろそろ魔力も次の段階に移るか!)」


魔力操作の次の段階。それは魔力の放出だ。もちろん俺が勝手に言ってるだけだが。


だけど魔力を放出すれば魔力が上がるかもしれない。


「(それこそ魔法チートだろ!)」


早速魔力を全放出。その瞬間意識が無くなった。


どれぐらい経ったか分からないが意識を取り戻した。


「(やっぱりこうなるのか・・・でも、たしかに魔力が上がってる!気絶し続けるぞ!)」


魔力が上がったことを認識した俺は食事の時間以外は起きては気絶して起きては気絶してを繰り返した。


そんなことをしていると食事を出してくれる人の話でこの世界の事が理解できるように。


この国はヨトゥン王国。通貨はハーツで金貨だったり銀貨だったり硬貨を使用している。他の国では敵対国のエメラル帝国という国もあるらしい。別大陸も存在しそっちにも国があるとか。


さらに魔物がいたり冒険者があったりまさに前世で好きだった異世界作品のような世界だと改めて認識できた。


「(よーし!やる気出てきたぞ!目指すは最強!)」


こうして俺は魔力を放出し続け魔力を増やし続けた。そして3歳になるころには動けるようになり魔力を動かすことで身体能力が上がることが判明。


さらに大きなことで言えばルーヴェが何かが分かった。


ルーヴェは相獣と呼ばれ人が生まれた瞬間に現れる相棒のような存在らしい。相獣はその人の魔法の属性によって能力は異なる。


「(動物を連れている人ばかりだな〜って思ってたらそういう事だったのか)」


変わった色の犬だな〜とか。こっちの世界の人は猪を連れ歩くのか〜とか。あまり深くは考えてなかった。


「(でも、人タイプは見たことがないな?)」


俺と同じ人タイプの相獣は見た事がない。もしかしたら珍しいのかもしれない。


そして俺個人としては読み書きは出来ないが計算が出来ることがバレてしまい奴隷をしながら事務的なことを手伝わされるはめに。


「(いや、人を雇えよ。3歳の子供を手伝わすなよ)」


幸いまだ魔力を動かせることはバレていないらしい。


さらにこの世界の魔法の事が判明した。この世界の魔法は火水風土光闇氷雷樹と判明。


魔法を試してみたいと思ったもののさすがに魔法を使ったらバレるだろうと思って使わないようにした。


「(魔法は外に出てからだな)」


そして俺のやる事はひたすらに魔力の放出をして魔力の量を増やすのみ。


そして5歳になり読み書きも出来るようになってからは他の雑用も任せられるようになった。


「(俺って本当に奴隷なのだろうか?・・・奴隷か。3歳からこき使われてるもんな)」


まあ、そのおかげで他の奴隷が殴られてるみたいに殴られたり蹴られたりはされてないけど。


しかしここで問題が1つ。いくら魔力を放出しても魔力が増えなくなった。ここ最近はただ気絶するだけになってしまった。


「(相当魔力は大きくなったけどこれからどうしようか)」


この魔力量が世界ではどれだけの多さがあるのかは分からないけどもうこれ以上増えないのなら別のやり事を探す必要がある。


悩んだ結果バレない程度の身体強化を使い続けることにした。これが修行になるのかどうかは分からないけど使ったことがないよりはましだろう。そう信じたい。


「(さて、そろそろ決めないとな。誰かに買われるのを待つか。逃げ出すか)」


悩みながらも身体強化を使い続けることが思いの外修行になったのでもう少しいることにした。


どう言うふうにいい修行になるのかと言うと最初は大雑把な強化しか出来なかったんだが、使えば使うほど指先のみなどの細かな強化も可能となった。


そんな身体強化の修行を続け7歳となった時。俺はとうとう買われることとなった。

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