第36話 研究所

 みさきさんを起こさないように、そーと席を移動して、オムライスを。美味い!!るいさん最高。


 少しずつ混んでくるんだよな。みさきさん、そろそろ起きないと。


可哀想だけど、起こすか…


【みさきさん、混んでくるからそろそろ…】


【はっ!寝てた?しまった…すぐ戻らないと…】


【みさきさん、車で来たの?】


【そうだよ。はると、じゃまたね】


【待って、ちょっと。俺も保険対象なら送るよ】


【えー、はると疲れてるじゃん。いいよ】


【大丈夫。そんなことよりも保険は?事故ったらシャレにならないから】


【大丈夫。誰運転しても保険効くけどさ】


【よし、じゃ送るよ。ユキさん、送ってきます】


【気をつけて、はるとくん】


………………車内………………


【みさきさん、寝てていいよ】


【何か悪いな、ごめんね。はると】


【気にしないで、姉ちゃん…】


と、さり気なく言ってみたが、照れくさい…


【姉ちゃん…いい響き…グー😪】


寝たよ、どれほど忙しいんだ?研究所は。


 それほどのことが起きてるんだよな。位置情報って無くてはならないものなんだな。昔の人はどうしていんだろう?少なくともスマホの前はあったんだろうけど、もっと大きな装置だったのかな?


 みさきさん、こんなに混んでるのに会いに来てたのかな?俺が弟と知って、優しくしてくれて。


 こんな姉貴最高じゃん。もっと早く出会いたかったよ。あの時助けてくれたのも、何かの運命だったのかな。何度も救われたよな、俺。


【寝ちゃった…はると、運転大丈夫?】


【寝てればいいのに、気にしないで。俺は大丈夫。明日も午後からの予約だから】


【仕事楽しい?夢だったんでしょ?みさちゃんから聞いた】


【うん。海大好きだから。せっかくの免許生かさないとね】


【ジェットに乗ってるはると、カッコいいだろうな〜見たいな〜】


【弟をカッコいいとか、おかしくない?】


【おかしくないよ。カッコいいには変わりないから。横顔お父さんに似てるね】


【そう?会ってないから解らないや】


【お父さん、ずっと単身赴任でしょ。可哀想だよね。私が引き取られてずっと優しく育ててくれて、お母さんにもだけど。感謝してるよ。ほんと】


それ、触れていいのか、解らないや。


【みさきさん、そろそろ着くよ】


【あっ、早かったね。ありがとう、助かったよ】


【もしかしてここで寝泊まりしてるの?】


【設備作ったんだよ。シャワーも、ベッドも、キッチンも】


そんなに!ってことは帰ってないの?


【みさきさん、たまには息抜きして】


【やっさしーな、やっぱ、はるとは私好みだね❤】


【いやいや、俺は弟ですから】


【血は繫がってないよ】


 だから何なんだよ〜付き合えるとでもいいたいのか?へんな姉だよ。ほんと。


【はいはい、アホなこと言ってないで。じゃ、俺はここで】


【何いってんの?帰れないでしょ?】


【電車て…動いてないじゃん!!】


【泊まるしかないね〜は、る、と…ふふっ】


何だよ、それ。どうしよう…


【みさきさん、車借りれるとか…】


【明日、るいに会いに行くから一緒に乗ってけば?今日話せなかった。寝ちゃって、それにあの時間忙しいみたいだから】


【オープンよりも仕込みのほうが忙しいみたい。るいさん一人で作ってるから】


【そっか。じゃ、明日昼過ぎに着くように出よう】


【俺、近くのホテルで】


【大丈夫!!研究所設備あるって言ったじゃん!!】


【でも、そう何部屋も空いてないでしょ?】


【私の部屋でいいじゃん。一人増えたくらいくらい楽に寝れるよ】


いや、それ、マズいだろ!!例え姉でもさ…


【とりあえずさ、俺は何とかして帰るよ。後でユキさんに迎えに来てもらう】


【そっか…残念だなー。後でいろいろ話したかったのに。あっ、そうだ!!明日みさちゃん連れてそっち行くから二人で。みさちゃんに帰りはその車運転してもらうよ。だから。それ使って帰ったら?】


【なんか、送ったのに迷惑かけちゃったかな。ごめんね、みさきさん】


【何いってんの。おかげで仮眠とれたから。ありがとう、はると。ところでみさに会ってく?所長も復帰してるよ。会えるかどうか解らないけど】


【そうしようかな。みさ、元気かな?】


………………研究所内………………


【うわー、変わってる。全然違うから迷うね】


【はると、これは帰れない人達のための部屋。交通機関麻痺状態のため、さらに必需性が高まってる】


【そんなに大変なんですか?今求められる仕事って。ポールシフト?太陽フレア?】


【詳しくは言えないけどなかなか帰れないよ。でも、何かしら復旧出来る可能性を信じてみんな必死になってる】


【みさきさん、例えそうであっても無理して倒れることなんか絶対にないようにしてください】


【ほんと優しい弟。ありがとうね、はると。ここで少し待ってて。この先は簡単に入れないから。厳重管理されているから。みさ、呼んでくるね。私はこれからすぐ作業に入らないと】


 そうだよな。俺がドジったみたいに迂闊にタイムトラベルなんてしたら。


 みさきさん、休めないんだね。心配だな、無理する性格だから。









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