第16話 何かがおかしい

 念のためではあるが、全ての検査の結果特に問題無しと。結局家に戻ったのは、翌朝に。もう職場は破産してるので出社することは必要ないが…それもそれで寂しいな。


 るいさん、家まで送ってくれた。もう何も気にしないでって言ったのに。今度ばかりは凄く反省していて。出迎えてくれた母は、


【あら〜何て可愛らしいお嬢さん、上がって上がっていってね。お茶🍵、コーヒー☕のほうがいいかしら?】


おい、俺の心配先にしろよ。


【今回は私の悪ふざけで、本当は申し訳ございませんでした。こちらが検査結果です。現時点で異常はございませんが、すみませんでした】 


るいさんの丁寧な説明に母は、


【いいのいいの、大丈夫!聞いた内容から、はるとが悪い!ねー、そんな言い方したら誰でも怒る!はると、女性に優しくしないと】


【はい、はい。お袋早くコーヒー☕入れて】


今、ユキさんが喫茶店頑張っているんだよな。


るいさん、早く帰らないとならないね。


【お店のほう、ユキさんだけで、大丈夫?】


【うん。レイジとね、アクティビティの人達が応援に来てくれてるから。はるとが忙しくて手が回らない時に手伝ってあげたでしょ?そのお礼だって】


【今日みたいは雨の日は、アクティビティ暇だもんね。それにしてもレイジは?研究所は休めたの?】


【いいの。あいつはそもそもあまり仕事してないから。さき達のお気に入りで残ってるようなもの。それにユキが呼ぶと結構な確率で来てくれるから】


 そんな、それも可哀想だ。ユキさんのことをレイジは気に入ってるのかな?


【はい、コーヒー☕どうぞ。あと、これも良かったら。普通のショートケーキ🍰だけど】


【お気づかいありがとうございます。いただきます。ショートケーキ大好きです😊】


【はー、るいさんってほんと可愛い。はるとって、いつも連れてくる…】


お袋、言うなよ!いつも余計なこと言うから!


【あっ、そうだ!りなちゃんのお母さんと!ごめんなさいね。るいさん、ゆっくりしていって。はると、出掛けるなら鍵忘れずにね】


【お母さん、ありがとうございます】


ふー、良かった!出掛けた。


【はると、優しくお母さんだね】


【そう?普通だよ。るいさん、お袋に気に入られてるね】


【社交辞令じゃない?お母さん私以外に会ってるでしょ?私の知ってる人達に何人も】


【りな、みさ、さきさんだね。そう言われて見れば確かに綺麗や可愛いって思える人多いね。ありがたや〜ありがたや〜】


【何それ?その言い方古臭い😆、ところで、このショートケーキ🍰何処の?】


るいさん、会話しながらモグモグ…気に入ってる。


【行きつけの喫茶店、るいさん達がやってるような感じでは無く、昔ながらの喫茶店だね】


【これ、洋梨🍐が入ってる。そうか、少しアレンジすればこうも変わるんだ!!ナイスアイディア】


 俺は小さい頃から食べ慣れていて、洋梨🍐普通だったけど。確かに飽きないってことは美味いんだな。無意識に食べていたけど。


【じゃ、はると、戻るね】


【るいさん、送ってくれてありがとう】


【うん。今度は仕事で来るでしょ?給与振込の口座番号か何か解るの持ってきて。後、今の職場の離職票…って破産してるなら、どうすれば?】


【りなに聞いておくよ。来週からよろしくお願いします】


【こちらこそ!ユキも喜ぶよ!じゃね!】


………さて、破産してる職場に行くのも…辛いね…


とりあえず、りなに連絡…繋がらないや。


みさに連絡…おっ、繋がった。


【みさ、とりあえずそっちに行くよ】


【解った。破産管財人が決まってるから。それに職場は入れないから。ここに来て。場所送るね】


【了解】


……………………待ち合わせ場所…………………


りなが来てるな。みさ、いないな。


【はると、大変だったね。大丈夫だって言うから御見舞行かなかったよ】


【りなはそれどころじゃ無いでしょ。この先の方向性は?何とかなる?】


【とりあえず社員の給料は会社都合になるからある程度は保護されてる。ただ、取引先には全額支払えないから荒れるね。説明には私はいかないみたい】


【社長クラスだよな、説明は当然。りなは聞かされてなかったろ?】


【うん…それだけの存在ってことだね】


【違うって、レイジから聞いたけどほんとに部長クラスだと伝わらないみたいだよ。仕方ないよ】


りな、涙目になって🥲


【これからだったのにな。何でこんなことに…】


りな、希望に満ち溢れる人生を迎えるはずだった。


【何か破産の予兆あったの?】


【何も、ただ部署によっては厳しくとこあったけど、私の場所はそんなことなかったから】


🫧私、海外に戻ろうかな🫧


【ん?りな、何か言った?】


【言ってないよ。大丈夫?やっぱ何かあったの?】


【いや、何でもない】


 これなんだよな。この前の感じた、何か直接頭に入ってくる言葉っていうか、感情っていうか。


🫧みさ、私に着いてくるかな?はるといるから無理だろうね🫧


 やはりおかしい…何かがおかしい…頭に語りかけてくるような不思議な感じだ。


【りな、みさは?何か言ってる?ここにいないから】


【もう、来ると思うよ。用事あって遅れてる】


【ごめん、出来れば離職票ほしい…破産の場合どうなるか解らないから】


【あー、ユキさんのとこへね。聞いてみる。はると、向こうで働くこと確定したの?】


【やっと見つけたから。やりたかったこと。ごめん、こんなことになってるのに】


【これも運命なんだね。はるとの退職と破産ほぼ重なるってね】


【りな、海外に、というよりも前に努めていたとこ戻ろうとしてる?】


【何で解ったの?話してないよね?】


やはり、偶然ではなく、俺には聞こえてるんだ。


【そこに、みさ、連れていきたいって思ってる?】


【ちょ、ちょっと、どうしてそこまで解ったの?それ、さっき直前に思ったことで、はるとに話してないよ。それとも独り言言ったの?私、怖っ!】


読心術みたいなもの、身についたのかな?


るいさんのハイキック食らって能力開花って?そんな都合好くねー、あり得ないか。










 

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