閑話日和 -3-


「ぐあっ! 何これっ!」


 舌を出して目をぎゅっとつむったケイスが、赤茶けた肉を皿の上に投げ捨てた。


「うぇ~……魔族ってこんなん食べんの~?」

「日常的には食べんだろう。魔族は摂食行動の必要がないからな。私たちが酒をたしなむように、魔族にとっては食事そのものが嗜好品だ」


 とイエルカが解説する。


「にしてもマズすぎますって! 塩辛いというか、苦いというか……腐ったボッタルガみたいな……」


 その時、ヘラヘラとした様子でオデットが立ち上がった。


「そりゃあお前、大人の味ってやつだぜ。コーヒーの良さすらわからねぇお子様が食うもんじゃねぇよ」


 赤茶けた肉を口に放り込む。


「ぐあっ! 何だこれっ!」

「同じじゃん!」


 オデットは渋い顔をしていた。


「ぺっぺっ! なんだこりゃあ! 腐ってんじゃねぇのか!?」

「でしょー?!」


 彼らが嘆く時、ついにイエルカが立ち上がった。


「舌の構造が違うのだろうな。私が思うに、こういうのは少量ならば意外と……」


 口に放り込む。


「ぐあっ! 何だこれっ!」


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