第54話

どうやらヘンサッチはボーダーと共にメージスまで行っているらしい。

この雑魚指揮官は、何故ボーダーとヘンサッチがメージス本国に行ったかまでは知らないらしい。

まぁ無能だしな。


「それで、追加の兵がここに送られてくるのはいつだ?」

「わ、わかりません……おそらくヘンサッチ様、ボーダー様が帰還した後だと思われます」


「何故だ? お前らまで消えたらすぐに調査するんじゃないのか?」

「調査するにも、ヘンサッチ様とボーダー様がいらっしゃいませんので……」


「おいおい、一番えらいのはエフランなんだろ?」

「はい。エフラン様は領主様ではありますが、実際に兵を動かすことはありません」

お飾りってことか。


「ヘンサッチやボーダーがここにくるのにどれくらい時間がかかる?」

「はい。今すぐに連絡がいったとしても、最低10日はかかると思います」

なるほど。

好都合だな。

ただ、日数については他の人間にも聞いておいた方がいい。

遺跡からメージス本国までどれくらいかかるのかを確認しておいた方がいいだろう。

こいつアホだし。


「だいたいわかった」

ズバッ!!

「あ……」

俺は指揮官の首を切り落とす。


さて、向こうはどうなった?

俺は下民のテントの方を確認する。


………………

すでに人の気配はない。

エイハンがうまく誘導したか?


まぁ無駄に愛国心が強い奴もいるだろうし、全員が納得して着いてくるわけではないだろうな。

そのへんはエイハンに任せよう。

拠点に住むのであれば食料を渡すし、そうでなければ解放する。

下民の兵士には恨みがないわけではないが、殺してしまえば拠点に住んでいる兵士たちからもよく思われないだろう。

彼らは重要な魂資源だからな。


さて……

「よし!! 使えそうな装備やテントの道具は全て集めてくれ!!」

「「「ホホー!!」」」

俺は魂兵たちに指示を出す。

武具はもちろんだが、テントや照明など使えそうなものは全て貰っておこう。


全員に持てるだけの道具を持ってもらい、帰還魔法陣で遺跡へと帰る。


□□□


「勇者様!!」

フェリスさんだ。

夜が明ける時間だが、起きて待っていてくれたのだろう。


「大丈夫ですよ。こちらの損害は0でした。

 さぁ、飯でも食って風呂に……」

中央の台座が光っている。

これまでよりも大きな光だ。


【旧神に認められました】


「旧神……?」

「勇者様……この光は?」


「フェリスさん、トヨワさん。旧神ってご存知ですか?」

「もちろんです」

「はい」

二人とも知っているようだ。


「この世界を創造した神だと言われています。

 現在は、人間の王が勝手に神だと名乗っていますので、それで旧神という名になったのです」

フェリスさんが説明してくれる。

マジかよ。

どこの国も勝手に神を名乗るんだな。

現人神思想ってやつか。


「その昔、この世界を創造した神は7柱いたと伝えられています。

 全知全能の神『トーダ』

 叡智の神『キョウダール』

 武の神『ハンディ』

 魔術の神『ホクディ』

 慈愛の神『トンペス』

 繁栄の神『メイドゥース』

 殺戮の神『キュシュール』」

いや多すぎ。

そんなに言われても覚えられない。


「台座が光っていることと、旧神に何か関係が?」

「なんか、認められたようですね」

「なんということでしょう!!」


「ちょっと確認してみます」

俺は台座をタップする。


【旧神キュシュールの加護が与えられます】


「えっと……もう一度旧神の名前教えてもらってもいいですか?」

「はい。

 全知全能の神『トーダ』

 叡智の神『キョウダール』

 武の神『ハンディ』

 魔術の神『ホクディ』

 慈愛の神『トンペス』

 繁栄の神『メイドゥース』

 殺戮の神『キュシュール』です」


なるほどな。

俺は殺戮の神『キュシュール』の加護が与えられるらしい。

俺はさらに台座をタップし、確認をする。


キュシュールの加護 Lv1 殺害数 : 13


「………………」

「勇者様?」


「あぁ、すみません。認められたってだけで、だからどうとかではないようですね……」

俺は咄嗟に嘘をついてしまう。


キュシュールの加護はレベル1だ。

そして、そこに殺害数が表記されている。


これは……

人間を殺せば加護のレベルが上がるってことだよな……

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