第28話

魂兵の作成ができた。

魔法兵だ。

「ホッ!!」

相変わらず弱そうである。

見た目は一般兵とほぼ同じで、ハニワが動いているようだ。

一般兵と違うところは頭。

頭に三角帽子をかぶっている。

遠目でも見分けがつきやすいのは、場合によってはデメリットにもなりそうだな。


「よし、早速訓練室にいきましょう」

「は、はい……」

「ホッ!!」

切り替えが早いのは賢者モードのせいだ。

俺はフェリスさん、魂兵と共に早足で訓練室へ向かう。


訓練室では、魂兵2体の訓練が終わり、レベル2になっている。

今の兵力は


一般兵 Lv2 2体

一般兵 Lv1 2体

魔法兵(炎) Lv1 1体


となっている。

魂兵が5体で容量が一杯だ。

『魂兵保管室』のレベルも上げたいところだが、まずは魔法兵の性能を確認したい。


「よし、あれに攻撃してみてくれ」

俺は訓練室中央にあるカカシを指さす。


「ホ!! ホホー!!」


ゴオォォォ!!


「え?」


魔法兵(炎)の前に30cmくらいの炎が渦を巻く。


「ホ!!」


ドガッ!!

ボオォォッ!!


カカシが激しく燃え上がる。

およそ1mの火柱が立ち上り、部屋が熱くなる。


「マジか……」

これ、レベル1だろ。

「さすが勇者様!!」

フェリスさんが尊敬の眼差しで俺を見てくる。

賢者モードにもかかわらずムラッときてしまうな。


「一般兵の10倍の魂消費だけあるな」

ヘンサッチの魔法の威力には及ばないだろうが、それでもかなり強いだろ。


炎が消えると、カカシが再び出現する。

訓練室のカカシは、何度も出現するようだ。


「あ……てことは、魔法兵(炎)のレベルアップもここでできるのか?」

俺は訓練室の台座を確認する。


スラッシュ Lv1 : 1000

魂兵強化 Lv2 : 500


これ、できるっぽいぞ。

しかも、たったの魂消費500で。

ただ、現状はレベル2までしか上げられないようだな。


残りの魂は7832か。

「さて、どうしようか……」


今必要なのは……


肉体強化 LV25 : 5000

精神強化 Lv3 : 5000

剣技   Lv5 : 5000

スラッシュ Lv1 : 1000

魂兵強化 Lv2 : 500

訓練室  Lv2 : 5000

魂兵保管室 Lv2 : 2000


このどれかだろう。

『魂兵保管室』は後回しだな。

魂兵はさっき2体作成したばかりだから、さすがに今は作成……いや、できるかも……


いや、現状は『魂兵強化』だな。

時間もかかるし。

俺は『魂兵強化』でさっき作成した『魔法兵(炎)』を強化する。


【強化完了まで47:59:59】


え?

いやいや、ちょっと待て。

一般兵は6時間だったよな。

魔法兵は2日かかるのかよ。

なるほど。

強化に必要な魂は同じ500だけど、時間は8倍もかかるってことね。


まいったな……

キャンセルは……あ、できた。


俺は一旦『魔法兵(炎)』のレベルアップをキャンセルし、『一般兵』のレベルアップをする。

『魔法兵(炎)』のレベルアップは長時間遺跡を離れるときにしよう。

とはいえ、俺にスケジュールは知らされないからな。

エイハンに聞いてできるだけ予定を教えてもらおう。


さて、残りの魂は7332だ。

よし、決めた。


肉体強化 LV25 : 5000

スラッシュ Lv1 : 1000


俺は『肉体強化』と『スラッシュ』をタップする。


【スラッシュを習得しました】


おぉ!!

スキルを習得した感覚がある。

なんとも言えない万能感だ。

俺は魂兵と違っていきなりスキルを習得できるのか?


俺は木の剣を右手に握りしめる。

こうか?

俺は上段に構える。

どうやら上から斬り下ろす技のようだ。


「スラッシュ!!」


シャッ!!


鋭い斬撃が空気を切り裂く。

空振りだが、ただの斬撃とは明らかに感覚が異なる。

つま先から脚を経て、腰を回転させ、右手を振り下ろす。

全身の力が一気に右手に集中するようだ。


俺は台座を確認する。


スラッシュ(不可) Lv2 : 5000


やっぱりな。

条件はなんだ?

訓練室か?

俺は『スラッシュ(不可)』をタップする。


【スキルレベルアップには、訓練室のレベル、ゲート攻撃回数が不足しています】


マジか。

訓練室のレベルは想定していたが、ゲート攻撃回数ってのも必要なんだな。

まぁそりゃそうか。

魂兵も6時間カカシを殴り続けているわけだ。

俺だけ魂使ってスキル習得っていうわけにはいかないのか。


「す、素晴らしい!!」

フェリスさんが両手を握り締め、上目遣いでこちらを見ている。

「ありがとうございます」

魂を使った力を無条件で褒められるとなんだか恥ずかしいんだよな。


「今のがスキルなんですね!? 美しい斬撃!! 素晴らしいです!!」

クソ!!

ムラムラするぜ!!

やっぱり『魂兵保管室』のレベルを上げておけばよかったかも……

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