第27話 ★

いやちょっと待とう。

冷静になれ。

どうせ魂兵を作成するなら、『魂兵作成室』のレベルを上げてからの方がいいだろう。

俺は魂を2000消費し、『魂兵作成室』のレベルを上げる。

残りの魂は10032だ。


ガコッ!!

ガガガ……


『魂兵作成室』の扉が閉まり、中から音がする。

「あの、勇者様?」

「『魂兵作成室』のレベルを上げました。何か変化があるかもしれません」

俺たちはレベルアップした『魂兵作成室』に入る。


若干広がったか?

おぉ?

「こ、これは……」

「ふかふかします!!」


足元がふわふわする。

しかし、見た目は石材だ。

どうなっているんだろうか。


「今日から睡眠はここでとったほうが良さそうですね」

「は、はい……」

そして下を向きモジモジするフェリスさん。


いやいや、ちょっと待て。

これで魂2000はきつい。

消費しすぎだろ。


「ん?」

魂兵作成室の台座が光っている。


俺は近づいて内容を確認する。


!!


魔法兵(炎)(不可)New Lv1 : 1000


「魔法兵!?」

マジか!!

いや、待て待て。

Newと(不可)がついてるぞ。

新しく出た項目なのに(不可)ってどういうことだよ。


「魔法兵が作成できるのですか!?」

「いや、今は無理みたいですね。ただ、作成には近づいたんだと思います」

俺は『魔法兵』をタップする。


【魔法兵の作成にはパンツとブラをコンプリートする必要があります】


「はぁ?」

「どうされたのです?」


「いや、あの……魔法兵の作成には、パンツとブラのコンプリートが必要だそうです」

俺は見たままの情報を伝える

「は、はい……かしこまりました……」

え?

何?

まだコンプリートするなんて決めてないんだけど……


フェリスさんがまたモジモジタイムに入ったようだ。

腰をくねくねし、下に俯きながら、指をこれくりまわしている。

し、仕方ねぇな……


俺は全てのパンツとブラをタップする。

魂1200の消費だ。

結構痛い……


よし、これで『魔法兵(炎)』が作成できるはず。


俺は改めて台座をタップする。


【全てのパンツとブラの着用が必須です】


これさ、変態じゃない?

この台座、変態じゃないか?

俺、別にそんなに下着フェチじゃないぞ。

この台座が変態なんだな。


□□□


「あの……ち、近いです」

「はい。死なないように気をつけます!!」

というわけで、全ての下着をフェリスさんに身につけていただく。

触れることはできないが、見ることはできる。

そうすると、必然的に近距離で見ることになるわけだ。


「赤も良いですね。積極的な感じがします」

「あ、ありがとう……ございます……」


「では、次はピンクですね。お願いします!!」

「あの、せめて着替えのときは向こうを向いていただけませんか?」


「大丈夫です。そもそも謎のモヤがかかって見えないんです」

「いや、見える見えないじゃなくて、恥ずかしいんですよ……」

それがまたいいんだよなぁ。


「いやしかし、それがダメみたいなんです。魔法兵を作成するためには、全てよく見ないといけないようです」

これは嘘だ。

「えぇ!?」


うつむき、涙目になるフェリスさん。

「わ、わかりました」

おぉ……


パサリ……

衣服が落ちる音が微かにする。


そして謎の黒いモヤ。


クソが!!


【施設のレベルが不足しています】


肝心な部分にモヤがかかって見ることができない。


いや、待て!!

待て待て待て!!


モヤのサイズが小さくなっている!!

レベルアップしたからか!?


このままレベルアップしていけば、いずれ見えるのでは?

そもそも、未熟な勇者がエルフの秘部に触れるとって言ってたよな。

未熟じゃなくなれば、触れることができるのでは!?


希望が出てきたところで、一通り目の保養が終わる。


「どうでした?」

「もちろんどれも素晴らしかったですよ。意外に水色が良かったです。いや、一番と言われると難しいのですが……」


「そ、そうじゃありません!! 魔法兵です!!」

「え?」

そ、そうか。

俺は台座を確認する。


魔法兵(炎)New Lv1 : 1000


「おぉ!! (不可)の文字が消えています。作成できそうです!!」

「さすが勇者様!!」


「では、早速水色に着替えてください」

「えぇ!? またですか?」


「いや、やっぱりピンクで!!」

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