第8話
「突っ立ってないで、跪けよ」
ザッ!
手に繋がれた鎖を強引に引っ張られ、地面に倒れる。
「今日からこの私ヘンサッチ様が、お前の飼い主だ」
前髪がうねっている男が言う。
クソみたいに嫌味ったらしい顔つきだ。
ガツッ!
なんだ?
頭を踏みつけられているのか?
「返事がないな……」
踏みつけられた頭をぐりぐりとされる。
「はい。よろしくお願いします」
「よろしい。いいか? ボーダー様は、領地の開拓でお忙しい。
これからは私が、ゲート破壊を指揮する」
「はい」
俺は地面に這いつくばったまま返事をする。
最悪だ……
こいつはボーダーよりもヤバい気がする。
「ではついてまいれ」
「はい……」
□□□
「はぁ……はぁ……」
「ほらほらぁ、どうした? ゲートはまだ先だぞぉ」
悪い予感が的中している。
俺は鎖を引っ張られたまま走っている。
鎖はヘンサッチの馬に繋がれており、馬が小走りする速度で、俺も走り続けなければならない。
「ゲートはっけぇん!!」
ガラン……
剣が地面に投げられる。
「ほれ、行ってこい」
「はぁ……はぁ……はい……」
俺はいつもに増してヘトヘトになりながら剣をふるう。
ザシュッ!!
ザシュッ!!
ザシュッ!!
「はぁ……はぁ……」
ザシュッ!!
ザシュッ!!
ザシュッ!!
□□□
午前中は最悪だった。
とにかく走り続け、剣を振り続けた。
ヘンサッチが途中で飽きたのは幸いだった。
午後からはペースが落ちたのだ。
「大体要領は理解できたな。もう私は必要ないでしょう。
エイハン、後はお前に任せる」
「はい! 承知しました!」
エイハンと呼ばれた短髪の兵士が跪く。
「下民のお前なら、あいつの世話もできるだろう?」
「はい、おっしゃる通りです」
身分が低いのだろうか。
そういえば、兵士の中でも彼が一番魔物を倒しているように見える。
実際一番強そうに見えたのだが、強さと身分は関係ないんだろうな。
□□□
それからエイハンについていく。
「こっちだ……ついて来い」
彼は口数こそ救いないが、今までの兵士よりは俺に対する圧が無い。
「フン!!」
そして魔物が現れると、真っ先に突っ込んでいき殲滅する。
やっぱり他の兵士よりも強いな。
あの領域になるには結構な『肉体強化』が必要だろう。
□□□
今日はトータルで4つのゲートを破壊した。
俺が『身体強化』しているから、ゲート破壊、移動の時間共に短くなっているのだが、徐々にゲートの位置が離れてくる。
そのため、ゲート破壊のペース自体はそれほど上がっていない。
「お疲れ様でした」
「あぁ、お疲れ様。午前中は死ぬかと思いましたね」
「そうですね……あのヘンサッチという人物は曲者です」
「知っているんですか?」
「はい。私がエフランに勇者様召喚の話を持ちかけたとき、彼はすぐに私を奴隷にするべきだと言っていたのです」
「なるほど……」
確かに、そう言われてみると、奴はフェリスさんをジロジロと見ていた気がする。
「にしても、このままじゃまずいな……」
また今日も『肉体強化』をベースにやっていくべきだろう。
『 魂 3150 / 毎時魂 150 / ゲート破壊数 15 』
『肉体強化』をタップする。
肉体強化 Lv8 : 80
肉体強化 Lv9 : 90
肉体強化 Lv10 : 100
肉体強化 Lv11 : 110
肉体強化 Lv12 : 120
肉体強化 Lv13 : 130
肉体強化 Lv14 : 140
肉体強化 Lv15 : 150
疲労で死ぬかと思ったからな。
920も『肉体強化』に突っ込む。
『 魂 2230 / 毎時魂 150 / ゲート破壊数 15 』
残りの魂がかなり減ってしまった。
しかし、これで恐らく基礎体力だけはそこら辺の兵士よりも高くなったはずだ。
それから、あいつらに今日の分の小麦とイモを渡す必要がある。
ゲート破壊数が15になっているからな。
それなりの量を渡さなければならない。
魂300を消費し、小麦とイモを生成する。
残りの魂は1930だ。
兵士たちには小麦とイモを生成するのに時間がかかると言ってあるからな。
この間に、できることを確認しよう。
ん?
表示が少し変わっている。
『強化 New』
なんだこれ?
俺は『強化 New』をタップする。
肉体強化 LV16 : 160
剣技 Lv1 : 100
剣技!?
『肉体強化』を繰り返したことで、『剣技』が出てきたようだ。
上げておくべきか?
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