第6話 休み時間
早速、恋人ごっこが学校で始まった。俺たちはルールに則り、あくまでも幼馴染みだけ、というルールをクラスでは貫いた。
授業中に清水とはあまり喋らない。ただ、休み時間になると彼女と一緒に弁当を食べるために、一緒に購買へと出かける。
「それじゃー行こっか。清水」
「うん、行こう」
教室を出ると、男子の視線をものすごく集める。清水と並んで歩いているだけなのに、やっぱりコイツはモテるらしい。
ヤベーー。なんか、何だか緊張するぅ! 俺はただ、横の幼馴染みと一緒に購買へ向かっているだけなのに。何故こんなにも、緊張するのか。
購買に着くと、生徒の列が出来上がっていた。そう言えば、今日は商店街のサンドイッチ屋さんが来てる日だっけ。めちゃくちゃ美味しいんだよなぁ。
「ねぇ。サンドイッチ食べたい」
「俺も食べたい! 並ぼうか」
清水は隣り合うようにして、列に並ぶ事にした。すると、前の集団が何やらデカい声で雑談していた。
「でさぁー。今度の練習試合は春を最後まで温存しようって話なんだけど、どう?」
「うーん、私はぁ」
はああああっ、千歳さん!! まさかの、前の集団が千歳さん含めたバスケ部集団とはぁ! ダメだ、目を逸らそうとしても、耳を塞ごうとしても、彼女の姿が、声が、脳内に入ってくる。
「どうしたの、かんた……関くん?」
「いやっ、何でもない。何でもないよ。あはははっ」
清水がキョトンとした表情で、話しかけてきた。
「でも、何だか頬っぺた赤いよ?」
「気のせいじゃないか? うん、気のせいだよ」
清水はジーっと俺の顔を見てくる。
「やっぱり変だよ。何か見てたの?」
「えっ?」
清水が視線を前にやると、彼女はバスケ部を発見した。「そう言うこと?」とでも言いたそうな、視線でジーっと俺のことを見てくる。
「違うぞ……そんな、やましい眼で見てた訳ではなく。バスケ部居るなーって思って」
何を言ってるんだ俺は? そんな事を言ったらバスケ部をジロジロ見てたのがバレるじゃ無いか! あーくそ、訂正出来ないかな。
「そうなの?」
「そうだぞ」
清水はすんなりと、納得してくれた。ホッとした。清水は少し天然なところがあるんだった。そこら辺を忘れていた。
「グフフ、春ちゃんの今日のブラはどんなのかなぁー?」
「ちょっ! やめてよあーちゃん。恥ずかしいから」
ブラァ?! 千歳さんの、ブラ……あーだめだ。見たくなくても、勝手に目がそっちに行ってしまう。目のやり場に困るなぁ。
「だめ。そっち見たらだめ!」
「清水?」
「とにかく、だめなものはダメなのっ!!」
清水は俺の両手をギュッと握り、プク〜っと膨れた顔をしながら目を合わせてきた。周りの男子の視線が色々な意味で激しい。
「あの塩レナが……あいつ誰だ」「可愛すぎるだろっ。俺もやられてぇ」
などと俺の耳に入ってくる。
「ごめん。清水だけを見てるから」
「——えッ//」
「えっと、そう言う意味じゃなくて。あのその、清水と目を合わせるようにするって意味なんだよ」
「——とにかく、速くサンドイッチ!」
「そうだな、サンドイッチ買おうぜ」
何はともあれ、ミックスサンドと苺たっぷりのフルーツサンドを手に入れた。食べる場所は、中庭のベンチにした。
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「もう6月だし、来週ぐらいからは雨かもなー。今のうちに、今年の春の陽気を感じておこうぜー」
グーんと背伸びをして、日差しを満遍なく浴びた。
「私もそれ、やろうかな」
「一緒にやろっか!」
二人して背伸び体操みたいなことをやってい内に、ふと昔に戻った感じがして楽しかった。
「そんじゃ、サンドイッチ食べよっか」
「うん」
隣に座っている清水は美味しそうにサンドイッチを頬張る。一言で言い表すのは、難しいが、その横顔が可愛いという事は分かる。
「どうしたの勘太郎?」
「別に……何でもないよ。礼奈が美味しそうに食べてるなぁーって」
「勘太郎」
清水が急に顔を近づけて来た。えっ、嘘だろ。まさかのキス!?
「ソース付いてる」
彼女はそういうと、俺の唇に少し付いてたソースを指で取ってくれた。
やっばいドキドキした。胸の鼓動が速くなってるのを感じる。これが、恋人効果ってやつなのか……。
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