第43話 泡銭で装備を買う

 思っていたよりチェルシーちゃんを哀れみながら、そして少しずつマックスへの想いを消していく事が楽しい。

 確実に僕へ好意を向けてはいるが、やはりまだマックスに対する気持ちが完全には消えていない。


 ここ数日、町へ行くことはなく、家で本を読んだり魔法の練習をしたり、アデラインやラシャド、それにベンと遊んだり、久しぶりにのんびり過ごしている。

 もちろんチェルシーちゃんと身体を動かすことも忘れてない。


「ホープ、そろそろギルドに行ってもいいのではないか?」


 暇そうなエリーが僕へ提案してきた。


「確かにそろそろほとぼりも冷めてるかな」

「ではそれが終わったら行くぞ。私は用意してくる」

「了解」


 そう言ってエリーは自分の部屋へダンジョンへ潜るための装備に着替えに行った。


 僕はというと椅子に座っている。少しだけ脚を広げてだ。

 脚の間にはチェルシーちゃんが座って僕のモノを咥え込み、一生懸命に奉仕をしていた。


 初めエリーに見られて咄嗟に奉仕を止めようとしたところを僕が無理やり押さえ込み、最後まで奉仕をさせた。

 一度そんな経験をすれば僕への印象が悪くなるか、逆に吹っ切れるかのどちらかだと思いやらせたのだが、チェルシーちゃんは吹っ切れるタイプだった。


 なので今ではエリーが居ようとも関係なく性欲処理をさせている。これなら当分は家で飼ってもいいだろう。

 エリーも人の性行為を見るのが好きなのでWin-Winだ。


 しかし僕たちが依頼を受けたりダンジョンに潜っているときチェルシーちゃんをどうしようかな。

 まだレベルが10にも満たないチェルシーちゃんを深くまで連れて行くのは僕としてはやめたい。

 これは別にチェルシーちゃんが特別というわけではなく、ルーキー全般に言えることだ。


 理由は簡単で、普通に邪魔なのだ。パワーレベリングをしても技術や戦闘経験の基本が出来ていなければどの道近い将来痛い目を見ることになるだろう。

 そうなればパワーレベリングが時間の無駄だった事になる。そんな事は勘弁願いたい。


 取り敢えずチェルシーちゃんの喉奥に出して無理やりにも飲ませる。


「僕とエリーは今から冒険者ギルドにいって依頼を受ける事にするよ。丁度いい依頼がなければそのままダンジョンに潜るつもりだ。その間チェルシーちゃんはどうする?」

「私を連れて行っては」

「ごめんね、僕たちが潜る階層にチェルシーちゃんを連れていく事は出来ない」

「そうですよね。すみませんわがまま言ったみたいで」


 うーん、玩具のメンテナンスも必要かな? もう少し一緒にいてあげたほうがマックスを頭から消すのに有効かもしれない。


「私は準備が出来た。お前たちも早くしろ」


 戻ってきたエリーが僕たちを急かす。

 ん? お前


「なに、久しぶりに身体を動かすのだ。ならば深く潜るよりも低階層でならすのもいいかと思ってな。それにルーキーの引率依頼が以前依頼表にあった」


 へー、意外とチェルシーちゃんを気に入ってたのか。まあ彼女みたいにエリーの目の前で性行為を受け入れる子は中々いないしね。

 それでいて未だに羞恥心を隠しきれていない所もいいのだろう。


 1番の理由はハメ撮りコレクションが増えたことへの感謝といったところか。


「分かったよ。じゃあチェルシーちゃんも用意しておいで」

「はい、エリーさんありがとうございます!」

「気にするな、いいから早く用意してこい」

「はい!」


 エリーの言葉に嬉しそうに返事を返したチェルシーちゃんは急いでヤリ部屋に行ってしまった。


「ありがとうエリー、彼女の相手をもう少しだけするべきか悩んでたんだけど解決できたよ」

「それはよかったな。ならホープもさっさと用意してこい」


 エリーの言葉に僕も用意に向かう。

 なんというか、3年も一緒にパーティを組んでいればある程度考えが分かるもんなんだなと思った。


 僕が用意を終えて部屋から出てくると既にチェルシーちゃんは用意が済んでいたようだった。

 まあ彼女はルーキーで、つい先日まで借金があったから殆ど用意や準備に時間が掛からなかったんだろう。

 その証拠に、部屋に戻った時と殆ど見た目が変わっていない。


 しかし後衛職とはいえ、流石に装備が貧弱だな。気持ちダメージを軽減出来る程度だろう。


「先にチェルシーちゃんの装備を買いに行こうか」

「そんな悪いです、私はこれで十分です」

「いや私もその装備はどうかと思っていたところだ。金は気にするな、先日金貸しの家で泡銭あぶくぜにが手に入ったからそれで最低限の装備くらい買ってやる」

「そうそう、違法な利息で儲けてた金貸しが丁度よくくれたんだよ」

「それって【竜の落とし子シーホース】からって事ですよね?」


「【竜の落とし子シーホース】? 僕たちは闇金業者しか知らないなあ。そうでしょエリー」

「ああその通りだ。いいから大人しく私たちの好意を受け取っておけ。正直その装備だと本当に大怪我、最悪殺されるぞ。初めて会ったときに言っただろ。お前たちルーキーはゴブリンを舐め過ぎているとな」

「分かりました。ありがたく甘えさせてもらいます」

「それでいい」


 という事でまずは冒険者ギルド近くにある防具屋に来た。


「確かプリーストだったね」

「はい」

「と言ってもルーキー用となると殆どが今よりマシってレベルだからレベル15以上のルーキーが大体使い出すやつにしようか。あまり高すぎると目をつけられるだろうからね」

「確かにそのあたりがギリギリ許されるところだな。それに大事に使えばDランクに上がるまでは買い替える必要もない。いいんじゃないか?」

「その、私にはよく分からなくて」


「はっきり言えばルーキーが買える装備としては一番いいやつという事だ。これならプリーストでもいくらかゴブリンの攻撃に耐えることが出来る。それは生存率に繋がる。ゴブリンの子を産みたくなければ適正な防具か少しだけいいやつを買う事だ。それでいて動きやすいものがいい」

「そうなんですね。今後の参考にさせていただきますね」


 エリーもなんだかんだで気にかけているんだな。チェルシーちゃんが少しずつ明るい表情を見せてきているのはエリーの力もあるんだろうね。


 僕たちはチェルシーちゃんの防具を買い、次は武器を買うことにする。武器屋と防具屋が隣同士なので移動が少なくていい。


 ここでは杖とメイスのどちらにするかで悩んだ。

 杖は支援魔法、プリーストなら回復魔法に補正がかかる。

 逆にメイスは支援魔法に補正はかからないけど敵に近付かれた時などに反撃が出来、威力も高く殴るだけなので誰でも扱う事が出来る。


 そして結果としてメイスにする事になった。杖でも近・中距離で戦う事も可能ではあるのだけれども、そうなると杖術を覚えなければ使いものにならない。

 正直後衛職はそこまで近接戦闘をする事はないので、わざわざ杖術を覚えるくらいならば取り敢えず殴ればどうにかなるメイスを選択したのだ。


 後は念の為にナイフを一つくらいか。


 しかしルーキーの装備ってこんなだったかな。僕が冒険者になった時より品質が少しだけ良くなっている。

 技術が進歩しているのか、僕が最初に買いに行った武器防具屋の品質がここより低かったかのどちらかだけど、ルーキーにはいい事に違いない。


 次は道具屋へ行き、回復量の少ない低品質のポーションとMPポーションをいくつか買い与える。


 取り敢えずここのダンジョンで必要なものはこれくらいか。

 後は食糧だが、これはルーキーらしくあまり美味しくない保存食だ。

 僕たちくらいのランクになれば時間が緩やかになり、鮮度などが中々落ちないアイテムバックを手に入れる事が出来るので食事の格差がかなり出来る。


 まあこればかりは今まで頑張った証拠だからね。こういうものを買えるようになるというのをモチベーションに頑張るのもありだろうな。


 しかし結構時間がかかったな。

 今日は引率依頼を受けて日時を決めるだけになりそうだ。

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