第28話 依頼完了
次の日、ジャスパーさんと商品の販売をしていると昨日冒険者ギルド内でエリーに絡んできた男が数人引き連れやってきた。
「このアマァ! 昨日はよくもやってくれたな!」
こんな白昼堂々に叫ぶのはやめてほしい。お客さんが怖がってるよ。
「エリー、5秒後に解けるから分かってるね?」
「任せろ」
5秒後、男たちは一瞬で制圧され地に伏していた。
丁度デバフの切れるタイミングだったのが運の尽きだったな。
「ジャスパーさんすみません、エリーが昨日冒険者ギルドで暴れちゃってそのお礼参りだったみたいです」
「昨日言われてたものですね。この程度なら問題ありませんので気にされないでください。それより接客をお願いします」
男の叫び声を聞いた憲兵があらわれ、僕たちはその場で簡単な事情聴取をされた。
周りにいた住人だったり買い物客たちが擁護してくれ、さらに常に録画をしていた魔石を見せたことでお咎めなし、むしろ捕縛を感謝される。
おそらく男たちはこの町でよく思われていなかったのだろうな。
美女の捕縛劇のおかげなのか、いつも以上に売れるペースが上がりあっという間に完売してしまった。
「お二人ともありがとうございました。こちらが依頼完了の証ですのでギルドへお持ちください」
「ありがとうございます。途中ご迷惑をおかけしましたがジャスパーさんとお仕事が出来てよかったです」
「私もジャスパーさんと仕事が出来て楽しかった。早く店が持てるといいな」
「私もお二人に依頼を受けてもらえてよかったです。店を持てるようになったら教えますので楽しみにしていてください」
「はい、楽しみにしていますね。あと指名依頼もジャスパーさんならいつでもお待ちしてます」
「近くのダンジョンで入手可能な魔物の素材があるならすぐに取ってくるから任せるといい」
「分かりました。では私はそろそろ仕入れを行いに行きます。機会があればその時はよろしくお願いします」
「お疲れ様でした」
「お疲れ」
「はい、お疲れ様です」
僕たちはジャスパーさんと別れ、早速冒険者ギルドへ赴く。
「すみません、依頼達成の報告に来ました」
「畏まりました、達成報告書を確認させてもらいます」
受付嬢に報告書を渡すと奥からお金を持ってくる。そして渡された金額に困惑する。
何故なら報酬が元々の依頼料より全然多いのだ。
「これは間違いでは?」
「いえ間違えていません。依頼主から金額の上乗せがありましたので」
報酬金額の上乗せがある事はたまにあるが、それにしては上乗せ金が多すぎる。
本来の報酬ではなく、Bランク冒険者への指名依頼と変わらない金額になっていたのだから。
「はあ、分かりました。ではありがたくいただいておきます」
今度見かけたら何か買ってお返ししないとな。
「そうだ、近くのダンジョンの地図が欲しいんですが幾らですか?」
「地図でしたら大が金貨1枚、中が銀貨8枚、小が銅貨5枚になります」
金額にばらつきがかなりあるな。銅貨10枚で小銀貨1枚、小銀貨10枚で銀貨1枚となると地図の小と中でもかなりの差だ。
銀貨10枚で小金貨1枚、小金貨10枚で金貨1枚になるからこちらも結構高い。
でもまあ命には変えられないか。
「取り敢えず全部1つずつ下さい」
「畏まりました、こちらが小になります。中と大は今お持ちしますので少々お待ちください」
なるほど、これが小か。
「かなり小さいな、これは正直使えないんじゃないか?」
「うーん、まあ無いよりマシって感じだね。中と大に期待しよう」
かなり小さい。しかもかなり大雑把な地図だ。
描き方がこの辺は大体こんな形ですよ程度しか分からない。詳細に描かれてないので本当に無いよりマシ程度だ。
「お待たせしました、こちらが中、こちらが大になります」
もう夕方なので宿を取るのは難しそうだな。
「すみません、一晩部屋を借りられますか?」
「構いません。今だと1人部屋は空いてなくて、2人部屋なら2部屋空いてます。1部屋銅貨8枚になりますがどうされますか?」
「エリーどうする?」
「別に同室で構わんだろう」
「エリーがそういうなら僕は構わないよ。すみません、じゃあ1部屋を。それと従魔はどうしたらいいですかね?」
「畏まりました、こちらが鍵になります。部屋は2階突き当たりを右に曲がるとあります。従魔も部屋に入れてもらって構いませんが、当然ながら物を壊したりすれば弁償になります。それと2人部屋だとかなり狭い事になりますので2人部屋を2部屋借りた方が良いかと」
「じゃあそうしようか、もう1部屋借りるよ」
「ではこちらがもう1部屋の鍵です。部屋は隣同士なので同じく2階突き当たりを右にお曲り下さい、そちらにありますので」
遅いしこの時間だと従魔の預かり所は開いてないのかもな。
仕方ないのでもう1部屋借りる事にする。
「2匹一緒で狭いようならどちらか僕の部屋でも構わないよ」
「部屋の広さ次第だな。まあラシャドは別に床で寝るわけではないから問題ないだろう」
それもそうか、鳥型の魔物は基本的に地面で寝る事はあまりないからね。
ブラックウルフのアデラインが一緒でも寝床が被ることも無いし平気か。
それにベンは影の中で寝ることが可能だからエリーの言う通り問題なさそうだな。
僕たちは寝床を確保したので夕食を食べに行く事にした。
近場のオススメを聞いてそこに行く事にしたのだ。ギルドで食べると絡んでくるバカがいそうだからね。
「おやお二方、先程ぶりですね」
店に入るとそこにはついさっきまで僕たちの依頼主だったジャスパーさんがいた。
依頼料をかなり奮発してくれていたのでここでの支払いはこちらが持つか。
僕たちは無事に依頼を終えることが出来たことに乾杯し、お互いの健闘を祈るのだった。
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