第27話 ちょっとだけアブノーマル
馬へバフをしたおかげか、夕方前には町へ到着することができた。
ジャスパーさんはそのまま商業ギルドへ向かい明日の販売許可をもらうそうなので、僕たちは冒険者ギルドへ行くことにする。
そして早速エリーがギルド内で絡まれた。
「美人の姉ちゃん、ちょっと酌をしてくれよ」
エリーはニコリと微笑み、近付き酒瓶を持ったかと思うとそのまま絡んできた男の頭にぶち撒けた。
「すまん、手が滑った。だがまあ美人がかけた酒だから美味いだろう?」
「このアマァ! 何すんじゃコラァ!」
あーあ、僕しーらない。
関わりたく無いので僕は一人で依頼表を確認する。
モンスターの素材納品依頼が多いな。近くにダンジョンがあるからそこで入手可能なものが多いのだろう。
その証拠に似た依頼ばかりだ。
「オラァ! 死ねやこのアマァ!」
今のところBランク以上の依頼は無さそうだ。
明日ジャスパーさんの店を手伝い終わったら依頼料ももらえるから一度家でも借りてゆっくり今後について考えてもいいかもしれないな。
「どこを見ているんだ? もう一杯酌でもしてやろうか?」
そうだ、一応受付に挨拶しておくか。当分世話になるだろうから第一印象は大切だからね。
「クソったれが! 絶対ぶん殴ってやる!」
受付は、ちょうど良く空いてるな。
「すみません、先程この町に来たんですけど当分こちらでお世話になると思いますのでよろしくお願いします」
「え? あ、はい。よろしくお願いします。どちらから来られたかとギルドカードを見せていただけますか?」
「エゼリタから来ました。これがギルドカードです」
「何処を殴っているんだ? そんな遅いパンチが当たるわけなかろう。パンチとはこうするのだ!」
「ぐはっ!」
「ふん、口の割に弱い奴だ」
「ありがとうございます、えっと、え!? 【
「はい、そうですがどうされました?」
「え、あ、いや、そのですね、先日帝国のAランクパーティである【
「そうなんですか? もしかしたらすれ違ったのかもしれませんね」
殺したからね。どう足掻いても組むことは不可能だ。
「取り敢えず明日で今受けている依頼が終わりますのでまた来ます」
「畏まりました。ではまたのお越しをお待ちしております」
簡単な話も出来たし依頼も見ることが出来たので今日の所はこれくらいで十分だろう。
「僕は一旦戻るけどエリーはどうする?」
「ふむ、私も一度戻ろう」
まるで何も無かったかのように返事をするエリーの後ろには初めに絡んできた男が倒れていた。
いや知ってたけどね、うるさかったし。
「あまり問題を起こさないようにね?」
「なに、あちらが問題を起こしたから私が解決してやっただけだ」
はあ、まあいいか。遅かれ早かれどの道絡まれてただろうし諦めよう。
冒険者同士の喧嘩はある程度許容されてるから後で多少の注意を受けるかもしれないな。
まあこれくらいは護衛依頼を受けた町、エゼリタにいた時はよくある光景だったので問題ないだろう。
「それより今日は引っかけないのか?」
「昨日二人を相手にしてある程度落ち着いたから無理に探す必要はないかな」
「そうか、まあまだ依頼が全て終わったわけではないしな」
僕たちはジャスパーさんが取ってくれた宿に行き依頼完了後について話し合う。
「取り敢えずダンジョンの下見でもしにいく?」
「確かにそれもいいが、先に拠点を決めるのはどうだ? 宿生活をするか家を借りるかその辺を今のうちに決めておいた方がいいと思うぞ」
「それもそうか、やっぱり自由に出来るって意味だと借りる方がいいかな。どうせなら従魔三匹も暮らせる広さでもいいかもね」
「ベンはともかくアデラインとラシャドが一緒にとなると高くなりそうだな。アデラインはブラックウルフだからそれなりに広い庭が必要になるぞ?」
「やっぱり毎日運動させないとダメだよね。ラシャドはまあ室内でも問題無さそうだけど、アデラインを考えると厳しいか」
あまりアデラインとラシャドをダンジョンに連れて行ったりしなかった理由の一つに、預けている店に行くのがめんどくさいというのがあったからなあ。
ある程度この辺りの魔物相手に慣れるまでは戦力として連れて回りたいと僕は思っているのだけど。
「預かり所が近い家があれば一番いいのだがな。それかダンジョンに向かう途中にあるとかだな」
「じゃあ取り敢えずその方向で考えておこうか。無理ならちゃんとエリーが迎えに行けばいいしね」
ちゃんと従魔契約をしている魔物しか預かってはくれないし、使役している本人しか魔物を連れ出すことは許されていない。
仮に僕がエリーの代わりに迎えに行っても門前払いなのだ。
しかし当分拠点とする家だ。そう考えると多分何人も女の子を連れ込むことになるだろうからどの道多少の広さはいるかな?
「拠点を決めたらどうしようか。さっきはダンジョンって言ったけど、一度町でも見て回ってみるかい?」
「それもいいかもしれんな。どうせなら適当な人妻店主でも見繕って店中でヤッたらどうだ?」
「無茶言わないでくれ。それに僕としては冒険者の方がいいよ。若い男冒険者の心にダメージを植え付けるのが気持ちいいんだ。それに僕に股を開いてる女冒険者も滑稽に見えて楽しいからね」
「毎回思うが何処でそんなに捻じ曲がったのか不思議だな」
「いいじゃないか、そのおかげで高頻度で魔石で楽しめるんだからさ。僕からしたら僕のハメ撮りを見ながらベンとヤッてるエリーの方が捻じ曲がってると思うけどね」
「お互い様という奴だな。考え方ややってる事はお互いにアブノーマルという事は間違いない」
僕たちはちょっとだけ性癖が普通ではないから仕方ないね。
パーティを組むと趣味趣向が制限されてしまう。しかしパーティを組まないと冒険者として上に行くのは難しい。
そんなもどかしさをエリーは抱えていた。だから僕は声をかけた。彼女はこちら側の人間だと思ったから。
テイマーが従魔と関係を持つという事はない話ではない。そこに性別はない。
ただエリーはさらに他人の性行為を見るのが大好きだった。他人の性行為を見ながらでないとイケないほどに。
僕は沢山の女の子を他人から奪いたい。しかしそのためには一人で動くより二人で動く方が簡単だ。
女性と組んでいることで相手は男も女も油断する。
何かあってもフォローをしてくれる存在はそれだけでありがたい。
それに僕は別にハメ撮りを見られても特になんとも思わないのでデメリットがない。
唯一あるとしたら毎回魔石にエリー以外には見る事ができないように魔法を使わなくてはならないくらいだが、些細な事だ。
お互いがお互いを利用して楽しめている。
しかも冒険者として問題無い実力を兼ね備えているので十分すぎるほどにメリットがある。
二人で組んでいるから他のパーティより一人当たりの報酬も多いしね。
「取り敢えず数日以内に新しい子を見つけて性欲処理をさせてもらおう。最悪ダンジョンでするかな」
「ふむ、そうなると録画用の魔石を買いに行かねばならないな」
僕はきっと世界一性行為を魔石に録画された冒険者だろうな。
エリーと組んで三年、多分300以上録画してるはずだ。
そう考えると僕は沢山の女の子と男の子を泣かせてきたんだな。異常な記録だ。
そんな達成感を感じながら僕たちはジャスパーさんと夕飯を取るまで話すのだった。
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