苦悩しながら前に進む姿が、輝かしい

絵画にも、音楽にも、芸術活動にはすべて、絶対の「正解」はありません。
追い求めるものはひとつ。自分自身の中にある「理想」。表現者はみな、一度は悩んだ覚えがあるでしょう。永遠のテーマです。

この作品の中で、私が一番グッときたのは、主人公ゆきと大悟の、悩み足掻く姿です。
理想の音を求めて。理想の光を求めて。表現方法は違いますが、彼らは悩み、違和感を覚え、惑い、迷いながら、手探りで前に進んでいきます。
そこに、二人の恋愛模様がうまく絡まり、芸術的な成功と私生活での成功を両立できるかどうか、も語られます。

彼らの悩む姿、恋に翻弄される様は、それだけで輝かしく、ありとあらゆる色彩に溢れ、複雑な響きを持っている。
拝読しながら、そのようなイメージを抱きました。

色彩と音と光の奔流に溺れたい方は、是非。お勧めいたします。

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