story2 星野七つ子



翌日。



「今日は転入生が来てるよ~!仲良くしてあげてね♪」

転入生かぁ。

やっとここにも来るようになったんだね...。

そう、ここ"真白孤児院"は影が薄くて転入生が来るなんて5年に1回くらい。

まあ15才まで住めるから少し困り気味くらいだったけど。

「じゃあ自己紹介お願いねえ!」

担任がやけにルンルンだ。

普段は気味が悪いくらいの怒りんぼうなはずだけど...。

冷たい風が顔を横切った。


星野太陽ほしのひまりです!」

星野ほしの.......るな、」

星野炎ほしのほむら‼」

星野彗ほしのすいです。よろしく」

星野ほしの...もくだっけ?」

星野宵ほしのよいです」

「そのぉ星野ほしの...じょう...ですぅ」


せーのっ!


「「星野7つ子です」」


ええええええっ!?

七つ子!?うちに!?

そりゃ先生喜びますね‼一気に35年分の人数が来たんですもんね!?

仲良くしたいなぁ……。


キラキラ...


ん?なんか普通じゃないなと思ったけど、

全員美少女......。

わ、わたしッ

美少女に"仲良くしたい"って思っちゃった!?

ダメダメわたし‼

もう彼女たちとは領域が違うんだよ…!

なんてこと言っちゃったんだ、‼

自分の言ったことを後悔しながらも、なぜか不安が押し寄せてくる。

もしかしたら、"アイツ"に狙われるかも...。




 ⋆‐☀☁☽‐⋆




自由時間。



「どこから来たの!?」

「可愛いね!なんか裏技とかあったりする!?」

星野7つ子は初日から孤児院の可愛い系女子に質問攻めをされている。

目の前はもう異世界の境目のようだった。

もちろん。わたしは現実で"地味"に朝食を食べて"地味"に勉強中。

まあ、わたしにとってあの領域は天より高い。(宇宙ってコト)

わたしはもう彼女たちから関係ない人間になっている。



メリーン♪



毎日のようになる独特な鐘の音。

だが、この鐘が毎日鳴っているとは思えないほど、辺りは驚きの顔を見せていた。

「うっ……時間だよ‼」

「はやくはやく!席について!」

女子からの悲鳴が聞こえると、その数秒後に、"きゃー!メイリー様❣"と歓声が上がった。

どうやったら、そんなにすばやく嘘を出せるんだろ...。

改めて女子に恐怖を感じていると、前から優雅な足音がした。

「皆さんおはようございます!今日もいい人たちばっかですね~((ニコッ」

どう見ても悪……おっと危ない。

華やかな顔が、まるで花畑の王女様みたい。

「め、メイリー様❣今日は7つ子が転入しています!」

「ふーん...」

すると彼女は何か考え込むようなポーズをした。

その姿も、絵画から飛び出してきたように美しい。

―――だが、みんなの心臓は別の意味で跳ね上がっていた…。

わたしだってすぐに分かった。

この声が、不機嫌な証拠だってね。

「…そう。じゃあわたしが来る数分前に歓声が上がったのも、

この子たちを迎えるためだったのね!」

うわぁ...っ。

メイリーさん、目が笑ってないですよ...。

他の女子たちも死んだような顔をしている。

そう。

メイリーの対応が特別なのも、みんなが恐れているのも。

全部"めいりー"の仕業。

この孤児院1の悪性メイリーの手下達だって恐れられている。

その7人の手下を、"シスターズ"と呼ばれている。

それも、"メイリーの妹"という意味。

名前まで作るなんて…悪趣味過ぎる。

まあ、前からそうだったけど。

メイリーは昔から悪賢い人間だった。

みんな、弱点のない人間だと思っている。

でも、私は知っている。


 

  彼 女 の 秘密弱点 を 。

















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