第44話 宣戦布告と元通りの日常と不穏な気配
あれから数日程入院をしてそのあと無事に退院することができた。
今日は退院して初めての登校日だ。
まあ、一週間くらいしか入院なんてしてないけどね。
「おはよう。」
俺は教室に着くとすぐに神楽に声をかけた。
「おはよう蒼。ちょっと来てくれない?」
「ん?まあいいけど。」
俺なんかしたかな?
まあ、ついていってみるか。
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「突然呼び出してごめんね。」
「いや、別に大したことは無いからいいけど何か用があったの?」
「うん。まずは一つ目私達別れましょう。」
え?
俺なんかしたかな?まあ、どっちみち別れ話はこっちからするつもりだったから好都合なんだけど。
「それは了解した。でも、なんでいきなり別れ話?」
「卑怯だと思って。」
「卑怯?何のこと?」
「だって、蒼を束縛して無理やり付き合わせてたみたいだしそれに蒼が入院した理由って私のせいなんでしょ?」
なるほど。そういう事か。
神楽も俺と同じで罪悪感を感じていたのか。
「別に君のせいじゃない。もともとは俺が君の告白をあんなふうに断ったのがきっかけだからね。そこは全然気にしなくていい。」
「それでも、陽炎さんにも悪いことをしちゃってるし、だから正々堂々蒼を惚れさせたい!だから、今の恋人関係は終わりだけど私はまだ蒼のこと好きだからね。覚えといてよね。」
「わかった。」
なんで俺神楽にこんなにも好かれてるんだ?
前に助けられたといってたけど、本当にそんな記憶がない。
そもそも俺が神楽のことを知ったのは高校二年生になってからだ。
俺がそう考えていると神楽は屋上から足早に立ち去って行った。
今の神楽の発言は宣戦布告何だろうか?
まあ、そんなことを考えても意味はない。
「とりあえず教室の戻るか。」
屋上に取り残された俺もとっとと戻りますかね。
じゃないと朝のホームルームに遅れるし。
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「おはよう星乃君!」
「ああ、おはよう月。」
教室に戻ってすぐに月が元気よくあいさつをしてきた。
前と変わらない感じでなんだか心地がいい。
いや、この関係を壊そうとした俺がこう感じるのもどうかと思うんだけど。
「そういえば星乃君はまだ神楽さんと付き合ってるの?」
「いや、ちょうどさっき振られたよ。正々堂々俺を惚れさせたいんだとか。」
「そうなんだ。じゃあ、今日は星乃君の家に行くからね!何食べたい?」
「じゃあ、ハンバーグで。」
「了解。材料一緒に買いに行こうね。」
「おっけー」
そんな感じで月は自身の席に戻っていった。
正直通い妻みたいなことをさせてるなと思うが、そこは考えたら負けだろう。
俺は今結構幸せな生活を過ごせているのかもしれない。
でも、配信をみる時間が無くなっているのは少し残念ではあるが。
まあ、久しぶりにおいしい晩御飯を食べれるんだから良しとしよう。
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美波の彼氏が亡くなったのを聞いたのはこの三日後だった。
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