第4話 小学生男子の心理で生きていた


 好きなものは、どこで見つけてくる?


 これまで沢山の好きなものに出会ってきた。好きなアニメ、好きな食べ物、好きな映画、好きなスポーツ、好きなアイドル。

 私の場合、これまで出会ったきた数々の好きなものは、全て妹で出来ている。妹に布教されたものばかりだからだ。兄弟の場合、普通は年上の兄弟に下の子が影響されて、同じ事を好きになる。この流れが定番だと思われるが、うちは逆だった。

 

 まず、妹の方が好奇心旺盛で、やる気もあった。妹がやりすぎてしまい、親に叱られているのを見て、“やらないでおこう”と学ぶのが私だった。妹は身体も大きくて、私の方が妹だと思われる事も多かった。学年は2つ違うけれど、年子か双子のようだったと思う。

 それでも、やはり年の多い私の方が口が達者だったので、言い負かされてブチギレた妹が手を上げて、それを親に「やりすぎです」と叱られるという、今思うと少し可哀想な状況に追い込んでいた。妹が幼稚園に入る直前までのあだ名は『ねこ娘』だった。(怒ると引っ掻く子供だったのだ)

 

 そんな好奇心旺盛な妹が、私を沼へと引き摺り込んだ作品は数知れず。特に立体の物。芸能人やアイドルは、ほぼ100%妹経由だ。記憶にある中で最初に布教されたのは『嵐』。その後、『侍戦隊シンケンジャー』。特に殿役をしていた、若き日の松坂桃李氏。そして、この後布教された、この方達に出会う前と後で、私の人生は二つに分かれると言っても過言ではない。『東方神起』だ。

 ここから一気に私の韓国アイドル化が進む。(今後はKぽドルと表記させていただく)東方神起を好きになって、“生涯ずっと親友”と呼べる友人が出来た。そして少女時代、Super Junior、SHINee、Apink、SISTAR、VIXX、Lovelyz……書いていたらキリがないので、ここで一度やめるが2009-2012くらいまでのKぽドルは、ほぼほぼ追いかけていた。懐かしい……。何年もアイドルオタクの道を突っ走ってきたが、アニメ『おそ松さん』で2次元へ帰ってくる。そしてゲーム実況グループ『三人称』、日本のアイドルに戻ってきて『Aぇ!group』。お笑い芸人『レインボー』←今ここ。

 これ全部妹の布教により、出会うことのできた私の好きな物達だ。



 私は、最初の印象で好きな物が分からない。言ってしまえば、後々大好きになる物ほど最初の印象は悪いのが常なのだ。

“嫌かも……”

“苦手かも……”

なんて思ってしまう。人間、嫌な物は見ない。だから妹がそばで繰り返し再生したり、見せてくれたりしていないと“好きかもしれない”と思えないのだ。何故こんなに面倒な性格になってしまったんだろう……? そもそも一度好きになった物を嫌いになるというのが大嫌いなのだ。自分の中でどんどん熱が冷めていく感覚も不快だ。好きな物は、一生同じ熱量で好きでいたい。それにしても、ただの趣味にすら、これは重すぎる……。書いててちょっと引いてる……。


 実際、先ほど挙げたKぽドルも全盛期のような熱量では応援できていないし、なんならもう解散してしまったグループすらある。ずっと同じ熱量でいられるわけがない。分かっているのに、なぜ受け入れられないんだろう?

 多分、そんなだから予防線のように「苦手かも」と言ってしまうのだ。




 うん、これは良くないぞ? やめた方がいいよ……。



 ただ、有難いことに私のこの特性を知っている妹は、私が無意識に発した


「苦手かも」


にたいして


「今、また否定しようとしたよ」


と一声掛けてくれる。妹的には、「あなた本心では、好きなんじゃないの?」の意味で声を掛けてくれるので、私はハッ! としてそれ以上口を噤むのだ。単純に、好きな物を素直に好きと言えないなんて、小学生男子みたいだ。良い年にして恥ずかしい……。

 


 心に引っかかりがある時、その違和感の全てを嫌悪感と決めつける癖を直していきたい。じゃないと、私一人の時に人生を変えるような素敵な物と出会った時、私はそれを取りこぼしてしまうかもしれない。これからは、妹がいなくても、引っかかった物は「気になる」と言って、答えが出るまで自分から触れに行く。


 そしてもう一つ。好きが嫌いになったり、熱量が冷めていく事、変化する事を自分に許してやるには、どうしたらいいんだろう。これは本当に分からないので、追々かな……と思っている。まずは恐れず興味を持つ事! 興味を持ったら体験しにいく事! ……て子供か!!




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三十路でも妖怪を信じてる 青柳花音 @kailu_kai

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