第3話

「 …馬、相馬!初日から大胆だな。まったく、野球部は実績にあぐらをかいて、学生の本分である勉学をなんだと思ってるんだ。」

心地よい微睡みから引き起こされ、古典教師のお小言。クラスメートを見ても、寝てるやつはポツポツといる。寝起き最悪の虎雅は、心の中で悪態をつく。

黒板に書かれた古典は尚眠気を誘い、禿げた頭は日光を反射して温かく、この状況で寝ない方が可笑しいのだ。

部活を主軸に生きている虎雅にとって、授業など仮眠時間以外のなにものでもない。他にも強豪揃いの我が校は、エースたちが眠れる獅子の如く、息を潜めていた。


堅苦しい授業が終わり、チャイムは昼飯時を知らせる。母特製のデカ盛り弁当を物の数分でたいらげ、プロテインを胃に流し込むと、ランニングへ向かう。強制された練習だけでは、レギュラーの背中は程遠い。わずか数日の練習で虎雅は思い知ったのだった。その背中を見つめる影にも気づかず、、、。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

依依恋恋 紀伊航大 @key_koudai

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ