舶来の 松風響く 秋の宵

舶来はくらいの 松風まつかぜひびく 秋のよい



 季語は秋の宵、季節はもちろん秋。

 松風は、ネット情報によると秋の季語であるという説と、松風だけでは季語にならないという説がある。まあ、秋が入っているのでそれでいいだろう。

 テーマとなる虫は、アオマツムシ(直翅目マツムシ科)。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16817330664403362613

 (近況ノートへのリンク、「今日の昆虫」と共通、写真あり)



 なお、舶来とは海外から物が運ばれて来ること、または運ばれて来た物を意味する。船舶せんぱくの舶の字が使われているように、本来は船で運ばれたものを指す。

 航空便が増えたせいか現代ではほとんど使われず、輸入とか外来の同義語のような感じとなっている。昔は日本産に比べ高級品というイメージもあったようだが。



 話を虫の方に戻そう。

 アオマツムシも、明治時代に中国あたりから入ってきたといわれる。おそらく、他の舶来の品々とともに船に乗って。


 このアオマツムシ、外見はマツムシに似て緑色なのでこの名が付いたと思われるが、鳴き声は『リィーーーーリィーーー-』という長く伸ばす音で、むしろスズムシに似ている。

 なお、スズムシとマツムシは昔はその名が逆だった、という話もある。ただこれには諸説あるようだが、少なくともアオマツムシが日本に入ってくる頃には現代と同じものになっていたと考えられる。

 逆転の理由はよくわかっていないようだが、かつてスズムシの声を松に吹く風に見立てて松虫と名付けたのならば、アオマツムシもマツムシの名がふさわしいのではないだろうか。ただし、かなり激しい風ではあるが。


 ある種の外来種と同様に、アオマツムシは虫の少ない都会に入り込んで数を増やし、秋の夜に大声を響かせている。街路樹などの木の上で鳴いており、すぐ下を通ると正直うるさいと感じることもある。


 数年前には一度関西の街から姿を消したかと思うこともあったが、年ごとの変化の範囲内であったようで、今年(2023年)は普通に夜になると鳴き声が聞こえてくる。

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