秋の涯 寒を知らざる 蝶悲し

秋のはて かんを知らざる ちょう悲し



 季語は秋、もしくは秋の涯、季節は秋。

 テーマとなる虫は、ウラナミシジミ(鱗翅目シジミチョウ科)。


https://kakuyomu.jp/users/r_hirose/news/16817330665158953503

 (近況ノートの写真へのリンク、「今日の昆虫」と共通)


 このチョウは、本来はもっと南の国に生息する種であるが、春から秋にかけて世代を繰り返しながら分布を拡大し、冬の寒さに耐えきれず姿を消す。

 いわゆる死滅回遊魚のような暮らしぶりであるが、海流に流されているだけの魚とは違い、チョウの方は自発的に長距離を移動して新たな生息地を求めているようだ。


 秋、ウラナミシジミは本州でもかなり個体数を増やし、農地から河川敷、都市部でも公園の花壇回りなどで見られる。

 そして冬が近づくと……もともと熱帯地方のチョウなので越冬というものをすることもなく、普通に卵から成虫までのサイクルを繰り返そうとして、続く低温の日々に耐えきれずに消えてゆく。


 それでもまた、来年になると同じように、南からこのチョウはやってくるのである。

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