第18話 楚


 十八史略におけるこの国に対しての扱いは、正直なところ、よくわからぬ、と申し上げるより他ない。荘王そうおう以降適当だし、戦国時代に入っても、ほぼいいところ無し、と扱う。にもかかわらず、歴代王はずらりと列挙する。この列挙の意味さえわかればもう少し言葉の費やしようもあるのだが。

 蘇秦の口車に乗って秦と戦おうとしたは良いが、秦に騙され王をとらわれ、更には都まで落とされ。屈原の登場させ方も国の衰退の後押しでしか無く、春申君も贅沢好みの義理の弟に殺された変なやつ扱いであり、通覧してみると、……あれ、曾先之、だいぶ楚のことが嫌いではないか? むしろ「誰が荘王以外まともに書いてやるものか!」くらいの気概を感じてしまうほどであった。


 う、うむ、まあこちらとしても楚猿をバカにするのはやぶさかではないので良いのだが……南宋の統治範囲がほぼほぼ楚の領分であったことは、気にしないほうが良いのかな。

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