第24話 誤解

俺が休んでいる間、カモミールさんは慣れないながらも色々してくれた。

家事は出来ないらしいので、その他の事で。


やっぱり疲れていたらしい。

慣れないことして、体は疲れていたのだ。


俺はカモミールさんを少々誤解していたようだ。

クールで人の事なんて興味無いと思っていたのに、甲斐甲斐しく世話をしてくれた。

感謝しないと。


「私も、ミライの事好きだぞ。」

壁に向かって、ぼそっと呟いていたようだが小さい声で聞きとれなかった。

顔が赤くなってたけど、俺の風邪?うつってないか?


俺はカモミールさんのひたいに手を当てた。


「ひゃっ!」


驚かれた。


「熱、無いかな?」


「な、なな…何するんだ…。」


また顔が赤くなっている。

耳まで真っ赤だけど。

何で赤いのだろう。


俺は思っている以上に、思考能力が低下しているせいで物事を考えられなくなっていた。

エルフって耳長いな。

カモミールさんを観察するように見てしまった。


「珍しいか?耳が。」


「ああ、うん。見たこと無いからね。」

俺は遠慮とか、気を遣うのをどこかに置いてきてしまったらしい。


「カモミールさんて綺麗な人だねぇ。」

俺は呟いた。


「な、なにを言ってるんだ。まだ具合悪いんじゃないのか。」


途端に焦りだす彼女。

あれ、何かかわいい。


「カモミールさんてかわいいんだねぇ。」


「ほら、さっさと寝ろ!変なこと言ってないで。」


強制的に布団をかけられた。

うん。確かにぼーっとしてるし具合悪いのかも。



****



一晩ぐっすり寝たお陰で、頭がすっきりしていた。

昨日のもやもやが嘘のようだ。


「休むって大事だな~。」


俺は背伸びをして深呼吸をした。

外は鳥の鳴き声が聞こえる。

穏やかな朝だ。


「あれ?」


カモミールさんがテーブルに突っ伏して寝ていた。

帰ってなかったのか。

俺はカモミールさんを起こすことにした。


「ん~昨日帰るの面倒くさくて寝ちゃったよ…。」


ちょっと顔が赤くなってる。

風邪引いてないといいけど。


バタン


ドアが開かれた。


目を見開いているアンがいた。


「え…そういう関係だったの?お邪魔した…。」


アンは言い終わるな否や逃げて行く。


「え?えっとその??」

めちゃくちゃ誤解されてないか?

恋人同士に思われたかも。


「あ、アンちょっと待って…。」

俺は無意識に走り出した。


直ぐに追いついた俺はアンの服を引っ張った。

「な、何してんの、あんたはエルフといい感じなんでしょ。」

アンはそっぽを向いている。


「…実は看病してもらってただけだ…。」


「何それ?言い訳?」


あれ?信じてもらえない。

どうしたら…。

俺はおろおろしていたらしい。

この時は不安で一杯になっていた。

よく解らないけど、とにかく不安で。


「情けない顔…何言い訳してんの…。」


アンは俺の顔にデコピンをした。

あれ?さっきまで不機嫌だった彼女は機嫌を直したようだった。







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