第3話 赤い髪の少女

あれ?


誰か叫んだ気がする。

でも何処で?


耳を澄ましてみた。

何か聞こえるかも。

感覚を研ぎ澄ましてみた。



何か違和感を感じる。

あっちか。

よく分からんが、感覚を信じてみることにする。

犬?

女の子が大きい犬?に囲まれていた。


俺は犬を追い払おうと思ったが、どうしたものか。

「ええい!」

とにかく突っ込んでみた。

女の子をとにかく助けないと!

犬は驚いたのか一斉に逃げていく。

ともかく助かった…。


「有難うございました。」


少女はお礼を述べる。

夕日のような赤髪、瞳は白色だ。

確かに異世界かも。

地球じゃ赤い髪ってなかったよね?

ぼんやりとそんなことを考えていた。


「あの?お名前聞いてもいいですか?」


「ああ、名前ね。荒滝 未来だ。」


「ア‥ラ・・・ライ?」


あれ?聞き取れないようだ。

聞いたことない言葉って聞き取りずらいもんな。


だよ」


「ミライですね。私はアンです。是非お礼したいので、もし良かったら家まで来てください。」


俺は赤い髪の少女アンに引っ張られ、アンの家に行くことになった。

背が小さい。

小学生高学年くらいかな?


しばらく歩く。

歩きながら彼女は話す。


「今日は森へ薬草を取りに来てたんですよね。だけどシルバーウルフに見つかっちゃって、囲まれたからどうしようかと思ってました。」


薬草を取りに来てたのか。

ハーブみたいなものかな?


話しているうちに近くの村にたどり着いた。

手作りの立て看板がある。

異世界の文字が書いてあった。


「ウィス村へようこそ!」


笑顔でアンが俺に話しかける。

心がフワッと温かくなった。

笑顔で話しかけられるのいつぶりだろう。


「俺怖くないの?」

俺は自分を指さして言った。


アンは問いかけに驚いた様子で

「いいえ。怖いというより優しいですよね。人は見かけによらないんですよ。」

またニコッと笑ってくれる。



****



「えーと?」

俺はアンの家に案内されたのだが…。

父親?が俺をにらみつけている。


「朝っぱらから、薬草を取りに行ったかと思ったら逢引きか。それにしても見たことないぞこの男。」


あー俺をアンの恋人?と勘違いしているらしい。


「違うの!この人は私をシルバーウルフから守ってくれたんだよ。ていうか初対面だし!なんてこと言うの!」


アンが怒ってる。

さっきまでニコニコしてたのに怒らせると怖い‥。

可愛いかも。

父親は怯えているようだが、可愛い。

例えるなら子猫が怒ってる感じかな。

そう思ったら微笑ましくなってきた。


「ミライさん?なんで笑ってるんですか?」

あ、怒りの矛先が俺に?


「笑ってないよ?」

俺は慌てて表情を取り繕い、事なきを得た。



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