第7話 冒険者ギルドへ
城門で入国審査を受けてバルトとケントの後ろをテクテクと歩く。
下級エリアの大通りは格子窓のついた壁が通り沿いに建てられている。
これは下級エリアの人々と他国からのお客さんを接触させないように、建てられたものらしい。
大通りは馬車や冒険者、騎乗ペットに乗っている人、商人、様々な人が往来している。
聖王国でも見た事がある風景なのに、他国とあいうだけで新鮮に感じられるから不思議なものだ。
「ここが冒険者ギルドだ」
「ふわぁ……」
金属板で補強されたゴツめの扉が私の前にどーん。
重厚な雰囲気。
扉の威圧感にちょっとだけ後退り。
「ビビってんのか? 大丈夫だ。取ってくったりはしないさ」
「えへへ……つい……」
ギィ、と扉が軋みながら開かれた途端、喧騒と熱気が流れ出てきた。
すごい。
私は一瞬固まった。
筋肉マッチョな人、綺麗なお姉さん、ひょろっとしてる冒険者っぽく無い人、すごい怪しい雰囲気の人、様々なタイプの人達がそこにはいた。
上半身裸の男性もいたりして、ちょっと恥ずかしくなって目をあらぬ方向へと動かす。
動かした先にいた剣士風のお兄さんと目があってさらに動かす。
さらにその先には小さい髭面のおじさまがいてあまり見るのもよく無いと視線を動かし、さらに――。
さらに――と。
視線の置き所がなくなり、完全に目が泳いでしまっている私だった。
「ここで待っててくれ。俺達は依頼の報告を済ませてくる」
「うぇっ!? ひっ! 一人にしないで欲しいのですがっ!」
「大丈夫だって」
「ううう、はい」
バルトとケントはそう言って笑いながらどこかへ行ってしまった。
高椅子に座り、足をぷらぷら。
視線をきょときょと。
壁に貼られた依頼書? らしきものや、モンスターの剥製、銅像、何やら禍々しいオーラを纏う大剣、ぼろぼろの胸当て、様々な物がショーケースに入れられて飾られている。
額縁に入った名言っぽいものをぼけっと読んでいると、
「お嬢ちゃん、一人かい?」
「はぇっ!?」
ぽん、と肩を叩かれたと思えば目の前には軽鎧を着用した軽薄そうなお兄さんとソーサラーっぽいお姉さんがいた。
「なっななな何か御用でしょうか!」
「そんなに警戒すんなって。お嬢ちゃんその格好からしてヒーラー系?」
「え? あ、はい。一応ビショップ、です」
「ビショップ!? まだ若そうなのにすげぇな! それに見た事ない顔だけど、流れの人?」
「わ、若くないですっ! もう十八です!」
「私より十若くて若くないとか……つら」
つい実年齢をぽろりした結果、ソーサラーのお姉さんに睨まれてしまった。
こわい!
「はああ! そういう意味では無くて!」
「あんまからかうなよカーミラ。ビビってんじゃん」
「つい、ごめん」
「だいじょうぶです!」
「んでさ、今うちらヒーラー職探してるんだけど良かったら一緒にどう?」
「今なら三食昼寝付きよ?」
「え、っと……」
なるほど、バルトさんの言っていた引く手数多っていうのは本当だったみたい。
よく見れば周りの人もチラチラと私の事を見ている。
さっきからやたら色んな人と目が合っていたのはそういう事だったのか、と一人納得する。
どうしよう。
どう断ろう。
心の中で慌てふためいていた時、助け船が到着した。
「悪いな旋風の二人、あいにくこのお嬢ちゃんは俺が予約済みだ」
軽薄そうなお兄さんとカーミラと呼ばれたソーサラーお姉さんの背後から、バルトの声が聞こえた。
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