第8話 年は乙女の禁句なの
「悪いな旋風の二人、あいにくこのお嬢ちゃんは俺が予約済みだ」
軽薄そうなお兄さんとカーミラと呼ばれたソーサラーお姉さんの背後から、バルトの声が聞こえた。
「んだよバルトか。ちくしょう、やられたぜ」
「はっはっは! 悪いなぁ!」
「手の早い男」
「人聞きの悪い事いうなよ!?」
相変わらず軽薄そうに笑うお兄さんとバルトはどうやら知り合いだったらしく、旋風という名のパーティーのお二人だそうだ。
「フィリアちゃんって言うのか、俺は旋風のリーダーネストだ、よろしく」
「私カーミラ、まだ二十八よ」
「よろしくお願いします!」
旋風の二人は私と握手を交わし、「またな」と言って去っていった。
カーミラさんは何で最後年齢を強調したのだろう?
「じゃフィリア、登録しに行くぞ」
「わかりました!」
受付までバルトに連れられていき渡された用紙を記入、
「それじゃこの魔晶石に手を当てて集中して」
「はい」
目の前に置かれた紫と青の輝きが綺麗な石に手を当てる。
これでその人のおおよその魔力や伸び代が測定されてスタートランクが決まる。
どきどきする。
魔晶石に意識を集中していくと、魔晶石の方から何かが流れ込んできて体の中を駆け巡っていく。
やだこれでS級とかSS級とかだったらどうしよう、困るなぁ、どうしようなぁ。
困るとか言っておきながら顔はニヤついているのだろう、と自己判断。
そして出た判定結果はっ!
「A級ね。おめでとう、凄いわね! 法力の数値だけが飛び出てる。ちょっとバランス悪いわね、体力や力を育てた方がいいわ」
「わかりました!」
「A級か、さすがだなフィリア」
「はい! ありがとうございます! 体力と力は筋トレですか?」
「そうだな、後は走り込みとかだが……正直ビショップに力はいらないと思うけどな」
「という事は体力ですか……有酸素運動ですね!」
「無理するなよ? 致命傷の奴を完全回復させちまうような実力持ってんだ。それだけでもSを狙える」
「いやー正直な話、私昇級にはあまりそこまで興味がないので……」
「そうなのか? 勿体ないな、けどまぁ、そういう生き方もありだな」
「おす」
登録と測定を終え、もらったライセンスカードをまじまじと見る。
【フィリア・サザーランド。ビショップ。ランク:A】
「んふふふ」
ライセンスカードを見ながらニヤニヤが止まらない。
新しい人生、ビバニューライフ、さようなら私、こんにちは私!
と、一人脳内でフィーバータイムな私にふと暗い影がかかる。
はて? ここは室内、どうした事かと目を上に上げる。
「やぁこんにちは」
「話しかけないで」
ひっ、と体が硬直する。
目の前には膨れたお腹、贅肉の乗ったタプタプの頬、ニキビ面ではないけどちょっと汗臭い人が立っていた。
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