第6話 アルスト王国

 アルスト王国。

 丘陵地にある中規模国家であり、周辺には遺跡群なども多く、アルスト王国の観光名所となっている。


 首都の中央には王城がそびえ、その周囲を上級、中級、下級というように三つのエリアが円状に配置されている。

 それぞれのエリアの境界には城壁が建っており、通行証がなくては通れない。


 三重の城壁は国家設立時からあるそうで、中々に趣のあるもので三重のアルストとして有名だ。

 中級エリアには大型の商業施設や学校があり、人口も多く一番賑わっているのが中級エリア。


 下級エリアはスラム街ほどではないが、舗装されていない道も多く貧富の差が少なからず存在する。


「とまぁこんな所だな」

「へぇ、聖王国には大型の商業施設なんてなかったから新鮮です」

「フィリアは聖王国から来たのか?」

「あっ、はい……」


 乗合馬車にてガタゴトとゆられる事二日、私とバルト、ケントはアルスト王国の城門までやってきていた。

 聖王国出身は隠そうと思っていただけに、ぽろっと出してしまった自分が愚かしい。


「聖王国は入国審査が厳しいってんで行った事ないんだわ。いつか行ってみたいもんだ」

「……いい所なんてないですよ」

「ん?」

「観光名所があるわけでもなく、ギスギスしてるし」

「そうか。フィリアは自分の国が嫌いなんだな」

「あっ!? え、いや! そういうわけじゃ!」

「そういうやつらが大体冒険者か流れ人になるんだよ。自分の国に満足してるやつは自分の国で収まって生きる」

「はぁ、そんなものですか」


 聖女争いの策略にはめられて追放されました、なんて事は口が裂けても言えず、私はそういうことにしておこうと思い、特に言及することはなかった。

 流れ人、所定の住所を持たず、その日暮らしに国を渡り歩く旅人とは似て非なる生き方。


 冒険者もにたようなものだと私は認識していたが、どうやらそうでもないらしい。

 低級のうちは色んな国を渡り歩く人もいるそうだけど、ランクが高くなるにつれて色々とめんどうな事が増えるらしい。


 その国やその国の貴族お抱えとして指名されたり、他国からスカウトがあったりと色々だ。

 正直私は聖女として名を上げたいわけじゃないし、むしろ名が知れてしまったら聖王国からどんなアクションが来るかわからない。


 面倒ごとはごめんだ。

 それにあのデブ皇太子の顔もネネコの顔も聖女候補達の顔も二度と見たくない。

 とか言ってると自分の力に自信があるような口ぶりだけど、実際自信はある。

 ケントの件はただビビってただけだし。


 私だって経験を積めばきっとやり手のスーパービショップにだってなれる。

 ふんす、と私は心の中で無い胸を張る。

 まぁでも他国に名前が知れ渡る、レベルではないだろう。

 

「行くぞ」

「あひゃい!」


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