第18話  まるでお尻の展覧会だ

「はぁ!? なに言ってるし! そんなのダメに決まってるじゃん!」

「そうよそうよ! 絶対ダメよ!」


 当然アゲハは反対した。


 静も精一杯加勢する。


 だが、他の女子達は風流に味方した。


「私は悪くない考えだと思うけど……」

「それで御栖眞さんが納得するなら……ねぇ?」

「昇太君が無実なら平気なわけだし」

「むしろ反対する方が怪しくない?」


 表向き、昇太が二人とエッチしている事は秘密である。


 とは言えエッチをした仲だ。


 本人達は隠しているつもりでも、普段の何気ない言動、雰囲気、距離感から、な~んか訳ありな匂いが香っている。


 それにアゲハは日頃から男遊びの激しい遊び人キャラで売っている。


 クラスの女子もまさか本当にエッチまでしているとは思っていないが、もしかしたらもしかするかも……くらいには怪しんでいた。


 そうでなくてもアゲハや静、風流が昇太とイチャコラしている姿を見て、いいないいな! ズルいズルい! 私も昇太君に悪戯したい! と言葉に出来ない精神的な欲求不満を無意識に感じていたのである。


 それがここにきて爆発した。


 昇太の疑惑を晴らす為。


 そんな大義名分の元、堂々とエッチな悪戯が出来るのなら大歓迎!


 そういったムードが広まっている。


 多勢に無勢、アゲハ達は押し切られ、風流の提案が通ってしまった。


 そんな訳で始まったのが絶対に興奮勃起してはいけないバレーボール大会だ。


「ほら昇太君。ちゃんと前向いて構えないとボール取れないよ?」

「そ、そんな事言われても……」


 昇太の前にはグイっとお尻を突き出したチームメイトがレシーブの構えをして並んでいる。


 ブルマの中にキュッと納まる小さなお尻、ブルマから溢れる程に大きなお尻、ブルマが小さくて食い込み気味のお尻もあれば、大きすぎてずり下がり、上からパンツがチラ見えするお尻もある。


 柔らかそうなお尻、引き締まったお尻、形の良いお尻、横に広がったお尻。


 まるでお尻の展覧会だ。


 それだけでも目に毒なのに、お尻たちは昇太を誘う様にふりふりと左右に揺れている。


 嬉しいけれど恥ずかしくて、昇太は視線を下げるのだが、その度に女子達に前を向くよう注意される。


 真っ赤になってモジモジする昇太を見て、女子達は満足そうに言うのである。


「昇太君てば赤くなってる。可愛い~!」

「あんなにモジモジしちゃって!」

「あたし達、そんなに魅力的?」

「もう、昇太君のエッチ~!」


 そんな事言われても、男の子なら誰だってモジモジしてしまうシチュエーションだ。


 このままでは相棒が暴れ出す。


 困った昇太は前に出て、ブロッカーのポジションにつくのだが。


「昇太く~ん。見て見て~」


 そちらでは、相手チームの女子達がレシーブの構えで胸を挟んでこれでもかと強調している。


 まさに前門のおっぱい、後門のお尻である。


「もう!? みんな真面目にバレーしてよ!?」


 必死になって昇太は叫ぶが、いざゲームが始まると事態は悪化するばかりである。


 知っての通り昇太は冴えないチビ助だ。


 本来ブロッカーなんか務まる身長ではない。


 味方がスパイクを行う度に相手のブロッカーがジャンプして、昇太の鼻先でダイナミックに胸が揺れる。


 これはいかんと後ろに下がってレシーブ役に回ってみても、今度は味方が「え~い」とわざとらしく昇太の所に突っ込んでくる。


 横っ飛びのレシーブを装って昇太を押し倒したり。


 かと思えば前の女子がお尻を突き出した格好のまま後ろに下がり、そのまま昇太を尻に敷いたり。


 あの手この手で昇太に接触プレイを仕掛け、それを見ていた他の女子が「あぁ! ずるい!」と対抗式を燃やしてさらなるボディアタックを仕掛けて来る。


 試合が終わって外野に回っても昇太の受難は終わらない。


 飢えた狼の顔をした女子達が集まってきて、手取り腰取りバレーの指導を始める。


「違うよ昇太君。レシーブの構えはこう!」


 なんて言いながら後ろからむぎゅっと胸を当ててくる。


「ブロックはこう!」


 目の前では巨乳の女子が飛び跳ねる。


「サーブはこうだよ」


 横からは貧乳の子が昇太の手を取りわざとらしく自分の胸に触れさせる。


 ボディタッチの飽和攻撃に昇太は頭がクラクラしてきた。


 たまらずアゲハ達に助けを求めるのだが、プイっと顔をそらされる。


「なんで!?」

「……だって昇太君。チョー嬉しそうなんだもん」

「真面目に庇ってる自分がバカみたいに思えて来たわ」

「そ、そんな事……」


 ないとは言えない。


 クラス中の女子達が昇太に群がりエッチな悪戯をして喜んでいるのだ。


 いけない事だと思いつつ、昇太の頬は緩んでしまう。


 だが仕方ない。


 女の子のおっぱいには、お尻には、嬉しそうに喜ぶ顔には、男の子を笑顔にしてしまう魔法の力があるのである。


 それでも昇太は必死に耐えた。


 けれど耐えるのだって限度がある。


 程なくして、昇太のお臍の下の眠れる獅子が目を覚ました。


「「「おぉぉぉぉおおおお!」」」


 愛聖のお嬢様も思わず呻るビッグボーイがピッタリとした短パンの布地を突き破らんばかりに起立した。


「どうだいみんな! これぞ動かぬ証拠と言う奴だ!」


 ビシッと相棒を指さして、ほれ見た事かと風流が勝ち誇る。


「う、うぅ、うぅぅ……」


 もはや逃げも隠れも出来ない状況だ。


 アゲハ達も今更になってこれはマズいと慌てているが、あまりにも立派な昇太の相棒にフォローの言葉が見つからない様子である。


 万事休すかと思われた時、奇跡が起きた。


 あまりにもあんまりな状況に置かれて、小心者の昇太が開き直ったのである。


「あのねぇ! 女の子にエッチな誘惑をされたら! 男の子は誰だってこんな風になっちゃうんだよ! だからこれで僕がアゲハさんとエッチした証拠にはなりません!」


 あまりにも堂々とした態度に、思わずクラスの女子達も納得した。

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いじめられっ子が元女子校のお嬢様学校に入学してめちゃくちゃモテる話 斜偲泳(ななしの えい) @74NOA

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